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夢見るそれいゆ 249

私は正午過ぎ、自宅に帰った。

「だだい…」
玄関を開けたら、パパが立っていた。そして、私の顔をじっと眺めていた。

「この様子だと、振られたわけではないな…」
家を出る前に、夏越クンと私の会話を聞いていたパパは、私が國吉先輩に会いに行くことを知っていた。私が帰宅するまで、ずっと心配していたようだった。

「…パパ。私、國吉先輩とお付き合いすることになりました。」
改めて報告するのが照れ臭くて、パパ相手に敬語になってしまった。

「…そうか。」
私はパパの反応の薄さに戸惑った。普段のパパだったら、「あおい〜!ひなに彼氏が出来たぞ!今日は赤飯炊くぞ、赤飯!」とか言いそうなものなのに。

「柊司くん…あなたがそこに立っていたら、ひなちゃんがお家に入れないわよ」
なかなか私が家に上がってこないので、様子を見に来たママがパパに注意した。

「ああ、すまん。」
パパは玄関の端に寄った。

私は靴を脱ぎ、家に上がった。

「ひなちゃん、両想いおめでとう!」
ママは私にニッコリと微笑んだ。

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さくらゆき
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