夢見るそれいゆ 258
私は海宝 航と名乗る男性を信じることにした。
「海宝さん、こちらこそ、不審者だと思って睨んでしまってすいませんでした!」
私は深々と頭を下げた。
「不審者……最近女子生徒が行方不明になった事件があったからですか?」
私は口を噤んでいた。
どうやら、海宝さんは國吉先輩や私が関係者だとは知らなかったようだ。
「ネットニュースでは、女子生徒の同級生が自宅の蔵に監禁していたと書かれてました。年齢に関係なく、到底許せることではありません!!」
海宝さんは、まるで自分事のように怒りをあらわにした。
「海宝さんは、女子生徒のために怒ってくれるんですね……学校の人たちやネットの書き込みは、心無い言葉ばかり……」
私は、堪えていた周りへの憤りを、つい口に出してしまっていた。
「もしかして、被害にあった女子生徒は、あなたの友達なのですか?」
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