夢見るそれいゆ 239
「國吉に彼女…ね。本当に國吉で良いのかい?
顔しか取り柄がないような男だけど。」
國吉先輩のお父さんは、眉間にシワを寄せて息子を指さした。
「國吉先輩は顔しか取り柄のない人ではないです!
中等部時代は生徒会長を責任を持って頑張っていました。
先輩は私の夢を「是非叶えたいね」って応援してくれたんです。
私は先輩をもっと知っていきたいんです。
だから、謹慎を解いてもらえませんか。
お願いします!」
私は深く頭を下げた。
「ひなたさん、頭を上げて!
これは僕と父の問題なんだから。」
國吉先輩はお父さんを真っ直ぐ見据えた。
「父さん、僕の謹慎を解いて下さい。
今まで僕は母さんを死なせた負い目を感じながら生きてきました。
今回の事件も、直接的ではなくても僕のせいで起きた…そう思って謹慎を受け入れました。
僕の存在が災厄でしかないから、このまま八幡宮に閉じ籠ろうとすら思っていました。
だけど…ひなたさんは僕とずっと一緒にいたいって言ってくれた。
彼女と生きることを、僕は諦めたくないんです!」
國吉先輩の主張を、お父さんは真剣な眼差しで聞いていた。
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