夢見るそれいゆ 232
「勘違いなんかじゃ…ないですよ。」
私は先輩を見つめた。
國吉先輩は目を見開いたまま、放心している。
「…このまま座っていると先輩の脚が火傷してしまうので、コンビニでビーチサンダル買ってきますね!
先輩は日陰に移動しましょう。」
私が立ち上がろうとしたら、先輩が私の手首を掴んだ。
「ひなたさん、僕はもうひなたさんを手放せなくなってしまうよ。それでも…一緒にいてくれるの?」
私は先輩の震えている手に、掴まれていない方の手を重ねた。
「ずーっと一緒にいましょう。手放すことなんて、もう考えなくて良いんです。
きっと私の方が先輩を手放せなくなってますし。」
私は先輩に微笑みかけた。
先輩は腰を上げ、私を力強く抱き締めた。
「ひなたさん大好きだ。もう何があっても諦めないから。」
先輩の言葉から不安が消え、意思が宿った。
私も先輩を抱き締め返した。
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