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【コラボショートショート】香りを交わす

4/18はお香の日ということで、may_citrusさん原作「澪標」コラボ小説シリーズから、澪さんのご両親のショートショートを書きました。

「お互いのこと、何も知らないので文通しませんか?」
お見合い成立した時、あなたから提案され、文通が始まった。

はじめに送られてきた手紙には、あなたのプロフィールが書かれていた。折り紙で作られた文香ふみこうが添えられていた。

「お見合いの日、桜が綺麗でしたね」
と追伸が書かれていた。文香は桜の香りだった。

私はキザな人だと思ったが、こういうのは嫌いではなかった。
自分のプロフィールとともに、相手が国語教師なので、桜を詠んだ短歌を添え、手紙を返信した。

次の手紙には、あなたの近況と私の詠んだ歌の返歌が書かれていた。そして、初夏を思わせる香りの文香。

私は近況と、初夏を詠んだ新しい短歌を、あなたに送った。

結婚するまで、こんな手紙をわし続けた。

結婚式当日、紋付袴に身を包んだあなたの手から、最後の手紙を受け取った。

「あなたの生涯の伴侶に選んでくれてありがとうございます。数ヶ月前は他人でしたが、これから一緒に夫婦になっていきましょう」

手紙を読み終えた花嫁姿の私を、あなたは優しく抱き寄せた。

あなたから今まででいちばん良い香りがした。

【完】

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さくらゆき
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