さらぬわかれ 96
「覚悟はしていた。私達は身分が違う。お互い好いていても、結ばれない。だから諦めようとした。」
さくらの顔が険しくなった。
「でも、諦められなかったんだよね?そうでなければ、心中なんてしようと思わなかったはずだもの…」
「栄子…私のせいなの。私が我慢すれば、恒之新様を巻き込むことはなかった!穏やかな一生を送ることが出来たはずなの!」
さくらは顔を手で覆った。
「…どうやら、僕らが思っているより複雑な事情があるようだ。」
恒孝が深く息を吐いた。
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