夢見るそれいゆ 240
「…言うようになったじゃないか、國吉。」
そう言うと、先輩のお父さんは私の持っている紙袋に目を遣った。
「えっと…名前はひなたさんでしたか、これは羊司君のお家の和菓子ですよね。」
「あ、はい。更紗先輩から國吉先輩のお父さんに渡して欲しいって頼まれたんです。」
私は先輩のお父さんに紙袋を手渡した。
「國吉、謹慎は解いてやろう。
ただ…謹慎を解くには条件がある。」
「条件?」
先輩と私は同時に聞き返した。
「夏休み中は、朝の境内の掃除が終わった後に、羊司くんのお家の和菓子屋で手伝いをすること。無償でだ!それが条件だ。」
「え?」
「『え?』じゃない、國吉!
こないだの八幡宮の七夕の句会の時に、羊司君に手伝いを替わってもらっただろう。
今だって、和菓子をいただいたし。」
「…分かりました。その条件を飲みます。」
こうして、國吉先輩の謹慎は解かれたのであった。
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