マガジンのカバー画像

コラボレーション作品

64
コラボ用マガジンです。
運営しているクリエイター

2022年4月の記事一覧

【コラボ小説】ただよふ  1(「澪標」より)

【コラボ小説】ただよふ 1(「澪標」より)

4年前の春。
あなたと出会った日は、妻の具合が良くなくて、機嫌がすこぶる悪かった。
僕が志津と2人で食事に行く予定だったのを、「何で大学の男友達との食事が、3ツ星ホテルの最上階のバーなのよ!如何わしい!」と変に勘ぐられ、僕は妻を宥めてから家を出た。

体育会系な志津とお洒落なバーは確かに似つかわしくないと僕も思ったが、大学時代の思い出話だけでなく、新しい職場での仕事について話すには、落ち着いた場所

もっとみる
【コラボ小説】ただよふ(「澪標」より) プロローグ

【コラボ小説】ただよふ(「澪標」より) プロローグ

この小説は、may_citrusさんの小説「澪標」を、海宝課長の視点から私の想像で書いたものです。

あなたが北関東事業所に異動してしばらく経った頃、本社にいる僕のもとに青天の霹靂の情報が舞い込んできた。

それは大学の弓道部時代からの友人、志津からもたらされた。

「航、鈴木が寿退社だってよ。」
「…志津課長、仕事中は海宝と呼べと…って、え?鈴木さんが?」

鈴木澪。僕が愛した運命の女性。
双極

もっとみる
【コラボ小説】新しい航海 (「澪標」番外編 「東雲の幻」より)

【コラボ小説】新しい航海 (「澪標」番外編 「東雲の幻」より)

この小説は、may_citrusさんの小説「澪標」番外編「東雲の幻」の続きを、私の想像で書いたものです。

あなたと別れ、試験運営を請け負う会社の北関東事業所に異動して少し経った頃。
私は休暇をとり、ひとり曇天の日本海に立っていた。

私は鞄から香水「サムライ アクアクルーズ」の瓶を取り出して、虚空にミストをゆっくり、何度も何度も噴射した。

プッシュボタンを押す度に、はじめて会った時から互いに惹

もっとみる