ツバメ堂のおはなし<二部式帯のこと>
ツバメ堂のおはなしです。
ツバメ堂で最初に作ったのは、つけ帯でした。
私が着物をきるようになったのは、浴衣からでした。
しばらくは半幅帯で貝ノ口や弥の字など大人向けの帯結びで楽しんでいました。
そのうちに、やっぱりお太鼓を締めたいと思うようになりました。
本式の着物っぽいですし、着物の先輩たちがそれは素敵に着物を着ているのを見ていて、
やっぱり憧れました。
ヤフオクで名古屋帯を手に入れて、本などを見ながら締めてみるのですが、はじめはかなりの苦労をしました。
お出かけに着物で行こうと思って、名古屋帯を締められなくて、時間が足りなくて諦めてお洋服で出かけたり。
出かけた先でお太鼓が落ちているのに気づかないまま駅のエスカレーターを急いで上がっていたら、若い方が走って追って来てくださって、直して頂いたりとか。
けれども、いわゆる「着物おばさん」なる存在から怖い目にあったことはありませんでした。
幸運だったのでしょう。
今のような「着物警察」なる組織??も存在せず、着物を着る人もごく少なくて、
割に牧歌的な世界だったのかもしれません。
ともかく名古屋帯でお太鼓をしめるのがなかなか苦労だったので、
「つけ帯」なるものがあるという事を聞きつけて、ヤフオクで探して何点か手に入れて重宝していました。
一番気に入って何度も使っているのは、黒い二部式帯です。
素材は繻子でしょうか。黒い生地に釣りをしている人の柄で、しじゅう使っていました。
これを締めていたら、今はなき京都四条の阪急でエスカレーターに乗っていたら、
後ろから「いい帯してはりますなぁ」とほめて頂いた事もあります。
(まさかイケズだったのかしら・・・今でもわかりません。)
お太鼓と胴のパーツに分かれていて、お太鼓に手はついておらず、
胴のパーツの端に手がつていて、お太鼓を背中に乗せて形を作ってから手を入れる形です。
二部式帯としては少し煩雑なのですが、お太鼓の大きさを調節できますし、
何と言っても仕舞う時に平らになります。
着物と同じようにたとう紙に入れて一緒にしまうことが出来る。これはとてもありがたかったのです。
他の手に入れたつけ帯は形を作ってあるものばかりで、着物とは別の箱に収納したりして、なかなか面倒な気がしていました。
この形のつけ帯を自分でつくって販売したらどうかしら?と思いついたのが、ツバメ堂をはじめたきっかけです。
型染から始めたのではなかったのです。
木綿の素敵な生地を探して、帯芯も本格的なしっかりしたものを求めて、腰ひもはモスリンで、と、細部にこだわって作りました。
型染のつけ帯も、この形でつくっています。
ご購入頂いた方には、お太鼓の形をつくってお届けするご希望があれば、
お太鼓パーツだけ形を作って縫い留めてお送りしています。