私の夢

初めて『夢』について聞かれたのは確か、幼稚園の年長さん(すみれ組)の時だった。

卒園記念の文集に卒園児それぞれのプロフィールみたいなものを1ページずつにまとめて掲載するとの事で、氏名、好きな食べ物、仲の良いお友達の名前、卒園したら通う小学校(当時は町内に小学校が3校あったので)、小学校で頑張りたい事、とかを赤裸々に書くわけです。

その数々の項目の中に『おおきくなったら◯◯になりたい』と言うものがあり、私は意味が分からなくてそこだけ空欄にしていた。

先生は『さくらさくらちゃん、どうしてここだけ書いてかないの。早く書いてでかしちゃいなさい』と、最後の項目の意味が分かってない私に言った。

分かんないことは聞けばいいのに、その当時からすでに私はビビりな上に意地っ張りでプライドが高いと言うめんどくさい性格だったので、先生に質問できなかった。

でも、書かないといけない。
困り果てた末に私のとった方法は『カンニング』だった。

お友達の書いたヤツをしれーっと覗き見てみると『お花屋さん』とか『ケーキ屋さん』とか『看護婦さん(当時はまだ看護師とは呼ばなかった)』とか。色々書いてあった。

私はびっくりたまげた。

自分は『なりたいもの』つまり、職業と言うものについてなーんも知らなかったし、そんなの考えた事すらなかった。それなのに、同い年のみんなは知ってたしちゃんと考えてた。

『恥ずかしい…(/-\*)こんな事、誰にも知られる訳にいかない』

そう思った私は、一番仲良しのお友達のまねっこをして『かんごふさん』と書いてその場を乗り切った。

『なりたいもの』について考えてみたけど、よく分からなかった。

いや、『なりたいもの』はあった。

だけど、その職業の名前が分からなかったのだ。

私は、何でも知っていて優しい母の事が小さい頃から大好きだった。

だから、そんな母が好きだった『本』も好きだったし『本』を作る(書く方)人になりたかった。

そんな気持ちはたぎる程あるのに言葉にする事ができなかった。職業名が分からなかっただけじゃなくて、プライドが邪魔をしたのだ。

『本を作る(書く方)の人になりたい』と言う夢を持っていると公言したとて、実現出来なければただのホラ吹きなんじゃないの?

そう思われると悲観していたし、不言実行の方がカッコいい。そう思った。だから、誰にも言わなかった。

そのまま大人になるまで、ずーっと言わなかった。

大人になるまでの間、ずーっと黙っていた夢をちょこちょこ言うようになったのは『言霊』の力を借りたくなったから。

そして、力を借りるだけじゃ始まらないから、ちょこちょこ物語を書いてコンテストに応募するようになった。

まだ箸にも棒にも引っ掛かった事はない。
でも書き方とか設定とか展開のさせ方に工夫の余地はまだまだあるから、書くのは楽しい。

だから、今は全然違う仕事(介護福祉士)してるけど『小さい頃からの夢を叶えるんだ』って言う気持ちを絶やさずに持ち続けて、時間がかかったとしても実現させたいな…( *´艸`)

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