信頼獲得に優るマーケティングなし
早いもので今年もあと2か月。2023年はNOTEの更新が疎かになりがちで、アウトプット不足を痛感しています。
サクラサクマーケティングは9月末に19期の上期を終えました。
コロナからV字回復を達成して、過去最高益を叩き出した18期。その喜びもつかの間、19期は本当に苦しいスタートとなりました。
ベンチャー企業に務めること17年、社長に就任してから約8年。大震災も、リーマンショックも、売却も、買収も、そしてコロナパンデミックも乗り越えて、経験も度胸も積んできたつもりでした・・・しかしピンチはいつだって突然、そして極端に訪れるものです。
世の中の代理店(商社)、制作会社、コンサルティング会社は、商材は違えど根本的には受託型ビジネス。課題を持っている顧客がいて、それを解決することで対価を得ています。顧客がいてはじめて成立するビジネス。
課題を持っている顧客を獲得すれば売上は上がるし、一方で、顧客を失えば売上が無くなるという至ってシンプルな話。
その中でも、コンサルティングは、我々のノウハウを駆使して顧客の課題を解決するというビジネスモデル。
その為、プライシング(値付け)方法は、ざっくり3つの考え方に分けられます。
①作業対費用相場
②効果対費用相場
③競合対費用相場
多くの場合は③の業界内で相場がある程度、固まっており、そこに対して、競合優位性や値下げの交渉などあり、前後するの通例ではないかと思います。
一方で、制作物や納品物を伴うサービスは、上記の3つで定価や単価は決定するものの、制作する分量によって、受注金額は青天井になることがあります。
単価は数万円でも、対応件数が10件、100件、1000件、10,000件・・・と増大することも珍しくありません。もちろん、物理的な限界や対応可否もありますが、年度末になるとその期の予算を全額投下したいなどの駆け込み需要が発生することもざらにあります。
さて、我々は、長らくこのコンサルティングと制作受託モデルを生業にしてきました。
18期と19期、天国と地獄の売上を経験しました。これは完全に制作受託モデルの変動性(ボラリティ)によるものでした。幹部陣を中心にメンバーの踏ん張り、そして奇跡や運に助けられ、この窮地を乗り越えることができました。
あとから振り返れば、昨年の好調時にもっとできることはいっぱいありました。
まさに晴れている時(18期)に油断したといえばそれまでです。しかし、過去を後悔しても何も始まりません。今から、ここから変われば遅いなんてことは1つもありません。では、何を変えなければいけないのか?ここがこのNOTEの本題です。
我々のビジネスモデルの歯車はシンプルに3つしかありません。
①与件獲得力
→いかに自社サービスにマッチした相談を獲得できるか?
②提案力
→顧客の課題に対して、他社よりも解決策を提示できるか?
③実行力
→解決策を具体的に実行し、解決策を実現できるか?
それぞれを最大化するために、組織形成、マーケ&営業活動、人材採用&育成、サービス研鑽、ブランディング・・・と多岐にわたる戦略があり、戦術を練り、日々の業務があるわけです。
特に①の部分は2020年2月のコロナの影響を受け、一気にDX化を加速させ、youtubeチャンネル開設、SNS強化、ウェビナーの開催など注力してきました。しかし一定の成果にはつながっているものの、このボラリティを払拭するだけのところまでは至っていません。
引き続き、ボラリティをなくすためには、安定的に良質な与件を獲得できるか否かが大きな命題です。
この3年、様々な営業、マーケ活動を実践して、成功も失敗も経験しました。改めて、「安定的に良質な与件獲得」のために何をすべきか、、、考えに考え抜きました。
共催セミナー、有料セミナー、展示会出展、広告出稿、書籍の追加出版、YouTubeの投稿数倍増、ブログの記事投下・・・
今までやっていない奇をてらう施策はないか?
抜本的に解決すべく良案はないのか?
悩んで悩み抜いた結果、そんな都合のよい近道はなく、到達した結論はこれです。
そんなの馬鹿でもわかるわ、と思われそうですが、②と③、つまり今、目の前の顧客対応に関して、信頼獲得に本気で意識が向いてるかどうか?ここにどれだけこだわっているか?
奇をてらう新たな施策など必要なく、全メンバーが目の前の案件に、どれだけこだわって取り組んでいるか?ここに解があると悟りました。
今の仕事の姿勢が、未来の仕事を生みます。現在、既存顧客や提案中の顧客が100社いるとします。この100社との信頼関係が、良質な未来な与件を生み出します。
逆にこの100社を点で捉えて、場当たり的な対応をしたり、自社にとって都合の良い対応していれば、間違いなく、未来の仕事は消滅します。
先日、下記の書籍を読む中で大きな気づきがありました。
この書籍の中で、行動変化には3つの層が存在するという記載がありました。
1つ目:結果の変化
2つ目:プロセスの変化
3つ目:アイデンティティの変化
ダイエットに例えると結果の変化とは体重の変化、プロセスの変化とは食習慣の変化、そしてアイデンティティの変化とは信念の変化。もう少し噛み砕いてみると結果とは自分が獲得するもの、プロセスとは自分が行うこと、そしてアイデンティティは自分が信じるもの。
習慣の重要性は多くのビジネスマンが既に理解していると思いますが、多くの人が1つ目の結果の変化ばかりの着目してしまう為、長続きせずに終わってしまうというのです。
3つ目のアイデンティティを変化させることこそ、最強の習慣を身に付けるためには必要だとこの本では解説されています。
さらにねぎおに刺さった文章が、アイデンティティ(Identity)という言葉の成り立ち。
話を我々のビジネスに戻したいと思います。サクラサクが今後も、世の中に必要とされ続ける存在であるためには、与件、受注、目標・・・結果の変化に着目するのではなく、アイデンティティ(繰り返す存在)を変化させなくてはならないという気づきです。
効率化、生産性、DX化という言葉に引っ張られ、手を抜いたり、相手の予算やレベルに合わせて、中途半端な仕事をしていないか?目の前の1つ1つの仕事に対して、こだわりをもって全力で向き合っているか?リモートワークを言い訳にしていないか?
一人一人が本当に自分がプロフェッショナルな存在(アイデンティティ)として、仕事をしているか?またマネジメント層はメンバーのプロ意識に対して、良質なフィードバックができているか?
優先順位1:アイデンティティの変化:
→全メンバーがプロ意識を持ち、業務を遂行する
優先順位2つ目:プロセスの変化:
→顧客への向き合い方の変化
優先順位3:結果の変化:
→顧客へ還元できる成果の変化
このパラダイムシフトが組織全体で必要だという気づきを得ることができました。全ては信頼獲得のために逆算的思考で行動しなければなりません。逆に言えば、信頼を損失させるようなメンバー、行動は0にしなければいけない。その上で、このサクラサクのクレド(行動指針)にずれる言動は断固譲らず、まだ改善できないメンバーとは離別する覚悟も必要です。中途半端な仕事は0ではなく、マイナスの複利を生みます。なぜなら未来の仕事を蝕むからです。
また信頼を獲得するために発想の転換も必要です。我々が信頼を獲得することが難しい(我々のターゲットにマッチしない)案件は、プロとして断るべきなのです。
”信頼獲得に優るマーケティングなし”
というタイトルで書いてきましたが、信頼獲得はサッカーでいうゴールのようなものです。すべての攻撃は得点を奪うことに繋がっていなくてはいけません。また信頼損失という名の失点を絶対に防ぐために組織をもって守備し当たらなくてはいけません。
またゴールは受注することでしょうか?納品することでしょうか?お客様の成果を上げることでしょうか?
受注することをゴールに仕事をしている人間と顧客からの信頼獲得をゴールに仕事をしている人間では、仕事への姿勢に圧倒的な差が生まれます。ここにどれがけこだわれるか?
改めて、19期下期以降、今回のピンチから全員で学びを得て、信頼獲得をするためにアイデンティティを変えていきましょう!