“落ち着いたらやってみよう“の“落ち着いたら…“は来ないかもしれないと思った話
こんにちは!さくら(@SAKURAs_letter)です。
未就学育児中の自分にとっては程遠いと思っていた「介護」というテーマを身近に感じ、考えるきっかけになった出来事がありました。現在、子育て真っ只中で「親の介護問題なんてもっと先だろう…」と思っている方にこそ、ご一読いただけたら嬉しいなと思います。
介護とはまだまだ程遠い我が家の実態
我が家は4人家族。年長息子、年少娘に夫と私。お互いの両親は我が家からそれぞれ約1時間ほどの所に住んでいます。
夫の両親は仕事はもうされていないものの、ペットを飼い、ジムに行ったり、趣味をされたり、元気なご様子。
私の父母は「腰が痛い」「膝が痛い」という不調は訴えながらも、現役まだ真っ只中で、こちらも元気な様子です。
そんな我が家なので、親の介護問題はまだまだ遠い未来と考え、どちらかというと5歳・3歳のわんぱくな子どもたちの事で毎日を回していくのが精一杯、そんな日々を送っています。
働き盛り、子育て世代の方々は我が家と同じようなケースのご家庭が多いのではないでしょうか…?
離れて暮らす祖父母の存在
夫の祖父母は他界していますが、私には母方の今年90になる祖父と86歳になる祖母がまだ健在で、北海道で2人きりの自立した生活を送っています。独身時代は半年に1回ほどの頻度で遊びに訪れていましたが、息子が生まれてからは年に1度となり、コロナが蔓延してからは行くことができず、3歳の娘も0歳の時に顔見せしてから会えていない状況でした。
毎日ニュースで報道されるコロナ関連のニュースですっかり怯えてしまっている祖父母は電話する度に「元気だから、コロナが落ち着いたら遊びにおいで」と孫である私や子である私の母に言っていました。様子を見に行きたいけど、万が一、無症状でうつしてしまっても怖いし、「元気だから大丈夫」という言葉を鵜呑みにして、誰も会いに行くことができずに約3年の月日が流れます…。
するとある日、祖父が徒歩10分ほどのコンビニに買い物に出かけたまま帰って来ず、様子を見に行った祖母が道端で牛乳が入ったリュックを背負って一歩を動けなくなってしまった祖父を発見する、という出来事が起こりました。
聞くと、「足が一歩も前に出なくなってしまった…」ということでした。そこから体のふらつきの症状もあったため病院を受診したところ、心臓に異常が見つかり、即入院となり、結果的には心臓バイパス手術をするという結末になったのでした。
元気に生活をしていた祖父母に突然訪れた不測の事態。もともと気丈な祖父母だったので、足腰も2人ともしっかりしていて、祖父は60代から始めた切り絵でコンクールを受賞したりするほど趣味に打ち込んでおり(最近はその切り絵も辞めてしまいました)、祖母も洋裁で生計を立ててたこともあり、編み物で日々作品づくりを楽しんでいる様子が伺えました。
2021年12月の祖父の入院をきっかけにして、祖父母宅へ代わるがわる人が赴くようになりました。私はというと、いてもたっても居られなくなり、夫に頼み込み子どもたちをお願いして、年末早めの有給申請をし、2泊3日で北海道へと行くことを決めました。
3年の空白期間がもたらしたもの
祖父はあいにく当初の予定より入院期間が長引いてしまったため、会えませんでしたが、約3年ぶりに祖母と念願の対面を果たすことが出来ました。久しぶりに会った祖母は認知機能は老化に伴い衰えていて、何度も何度も同じことを聞いたり、火をかけていたことを忘れてしまったりする様子が見られました。また祖父の退院を待ち侘びていて、「今日も退院の電話がかかってこないなぁ」と呟いている姿には胸を打たれました。コロナ禍のため、入院したきり面会することが出来ず、心臓の手術後に血尿が止まらなくなってしまった祖父は退院の目処さえ立たないという状況でした。祖父の入院中の様子を病院に聞くと、トイレに杖を持ってゆっくり歩いて行っているものの、杖を置いて帰ってきてしまいます、という状況で、祖父の様子はとても気になりました。
これまでと異なり、祖母は自分自身でも忘れないようにしようと、メモをとるのですが、そのメモをどこに置いてしまったか忘れてしまう姿が見られ、「ここじゃないかな?」と教えてあげるということが数回ありました。80代と90代の2人っきりの生活、よくここまで2人で成り立っていたなと感心してしまいました。きっと日常の中で不自由に感じていたこともあったはず…ただ2人で生活するしかないので、そうしていた、ということだとは思いますが、何か出来ることがあったのでは、と後ろめたい気持ちでいっぱいになりました。
また皮肉にも2021年、2022年の北海道の冬は積雪量がとても多く、積雪車を頼んでも間に合わず、1日に何度か雪かきをしなければいけない状況でした。86歳の祖母は梯子を使って屋根に登り、雪かきをしていたということで、近くに住んでいたらそれも手伝うことが出来るのに、と悔やまれます。事実、滞在中雪かきをしましたが、翌日にはまた車庫や屋根の上に大量の雪が積もっていました…。冬の北海道は夏の過ごしやすさとは打って変わって、顔つきが豹変します。
変わりゆく日常
そしてここから一気に現実的に話が進みます。うっすら考えていたものの、まだ先かもしれないと思っていた“介護“という言葉が出始めるのでした。私の二泊三日の滞在を終えた後は関東にいる私の母、そして母の姉が代わる代わる訪れ、ケースワーカーさんとの話や実際に祖父が退院した後に自宅でどう過ごして行くのか、話し合いが行われました。祖父は足がおぼつかないため、転倒のリスクがあり、また入浴介助も80代の祖母では困難であることなどが浮かび上がってきました。昔の家ということもあり、段差が多いので、家中をバリアフリーにしたり、要支援認定に向けて準備をしたり、床の間に電動ベッドが入ったりと着々とこれまでの日常から少しずつ変化がもたらされていくのでした。
祖父はこれまでデイケアに週3回程度、入院前も通っていましたが、入浴まで対応してもらえるデイケア施設への変更なども行いました。これまでデイケアには通っていなかった祖母にもデイケアにまずは週に1度でも気分転換に行ってみてはどうか、という提案がケースワーカーさんからあり、祖母もデイケアデビューをすることが決まりました。そうこうして祖父が無事に退院をし、入院がある程度の期間あったことで、歩けなくなっているのでは…という心配をよそに、ゆっくりではありますが、捕まりながら歩行が出来ていました。月に1度、誰かしら訪れることが出来ていますが、私はというと年末以降訪れることが難しいので息子と娘と毎月電話をして会話をするようにしています。
ある本との出会い
介護を身近に感じたことがない私にとってはそれは未知の世界でこれからどんな事が必要になるのか、どんな覚悟を持っておく必要になるのか、は知っておいた方がいいな、と思った矢先にKindleである漫画に出会いました。
こちらは現在Kindle unlimited本になっています。ある日事故で母親の脚が不自由になり、加えて認知症も発症。在宅介護や要介護認定の取得、デイ・ショートサービスの利用など目まぐるしく変化する日常がリアルに描かれています。
介護を通して“親の幸せ”と“後悔しない最期”を考えさせられる一冊でした。
祖父母の老後をどう過ごしてもらうのか、も大切ですが、いつか来る両親の介護も見据えて、色々と考えさせられる一冊でありました。漫画なので、視覚的に分かりやすく、すぐに読めてしまう一冊でもあるのでおススメです。
落ち着いたら…は来ないのかもしれない
母が毎月北海道に行くことになり、変わったことがあります。それは“落ち着いたら行こう!“と話していた旅行の話やちょっとした母娘のお出かけが出来なくなりました。母は仕事をしているので、有給は北海道に行くために使わなければならず、長めのお休みを取っては北海道に行ったり来たりの生活を始めています。
“思ったが吉日“という言葉がありますが、その通りだなと最近よく思います。5歳・3歳の子どもたちはまだまだ手がかかるので、落ち着いたらやりたいな、行きたいなと思っていたことや話していたことが沢山ありますが、いざ落ち着く時にはそれは実現できなくなっているという現実に直面をしています。
・歴史的建造物が大好きな祖父に、東京で観光案内してあげたいな。
・祖父母にはひ孫にあたる子どもたちを連れて、北海道内の美味しいラーメン屋さんに連れて行ってあげたいな。
・3世代で北海道内の温泉に皆で宿泊に行きたいな。
・ディズニーランドに皆で行きたいな。
などなど、色々と考えていましたが、実現できそう!というタイミングになった時には祖父母からはもう飛行機に乗って関東に来る体力は無いと言われてしまい、関東に来てもらうことはもう出来ないことが分かりました。北海道内を移動するのも祖父が長めの時間歩けないことや車に長時間乗ることも難しそうということで、実現の可能性としては低い状態です。
皆が健康で元気、制限なくお出かけ出来る機会(コロナ禍なのでそもそも制限されてしまう部分はありますが…)はそうないのかもしれないと今回の一連の経験から思いました。
私のこれまでのNoteでも何度か登場していますが、“Die with Zero“の内容をふと思い出しました。
皆さんも落ち着いたら〇〇しよう、と思っていることはありませんか?
日常は突然変わる可能性があります。
今日当たり前だったことが、明日当たり前に出来ない可能性があります。
日々忙殺されてしまう毎日ではありますが、ふとゆっくり心の声に耳を傾ける時間が大切であることを今回の体験から改めて感じました。
毎日を、そして今この時を大事に出来ているか、やりたいと思ったそのときにいつでも準備できるように日々を大切に生きていきたいと思います。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。