99 龍星の気持ち
伊織さんから電話がかかってきた
伊織「さくらちゃん!ごめん!
今日帰れない…」
ワタシ……
何かあったんだろうか
マズイ事?
その時に無理無理にでも伊織さんをお家に帰って来させていれば良かった。と今でも思っている
でも頭お花畑になっているワタシは
ワタシ「うん!大丈夫だよ!病院明日行ってくるね!」
と、元気に返した
伊織さんは申し訳無さそうだ
…たが、やはり言う台詞は決まっている
「さくらちゃん。GPSずーっとつけてるからね?」
ちょっとゾクッとしたがワタシは
*今の内に会いたい人*がいた為
ワタシ「伊織さんこそ変な事しないで下さいよ!」
と言って電話を切った
プルルルプルルル…
龍星「えっさくら?今大丈夫なんか?」
ワタシ「伊織さん帰ってこれないみたいだから…電話しちゃった…」
龍星「…会えるって事?」
ワタシ「龍星…急に忙しい?」
龍星「いや、すぐ用事済ませて家に行く。待ってて?」
ワタシは有頂天だった
龍星の今の気持ちも知らないで
そして龍星は本当にすぐ来た
ワタシは笑顔で玄関を開ける
龍星は玄関に入るなり何も言葉を発さず深いキスをしてきた
戸惑うワタシ
ワタシ「…龍星?えっ?どうしたの?何かあったの?」
龍星「さくら…」
ワタシ「えっえっ龍星?どうしたん?」
龍星は何か言いたげな顔をしている
とりあえずワタシはコーヒーを出してゆっくり座ってもらう
ワタシ「龍星の顔見れて嬉しいよ」
ワタシはハニカミながら言った
龍星はワタシの顔を黙ってジッと見つめていてちょっと怖い
ワタシ「龍星泣…急だった?ごめんなさい…」
龍星「違くて!」
急に大きな声を出す龍星にびっくりするワタシ
龍星「さくら…子供の血液型が分かって俺の子だったら伊織と離婚してほしい」
ワタシ「え…」
まさかの台詞に戸惑うワタシ
ワタシはどちらの子にせよ伊織さんとは離婚するつもりは無かったからだ
…こんなわがままな考えはワタシだけだ
現に龍星は目が真剣だ
龍星「俺、今更やけどやっぱり隠れてコソコソするのは嫌だ…」
ワタシの心臓が痛くなる
ワタシ「ど、どうしたら…」
やばい
またクラクラしてきた
安定剤
安定剤
ワタシは鞄をゴソゴソする
その手を龍星が止める
龍星「薬はお腹の子供に悪いんやで!」
と言い抱きしめてきた
ワタシは*あっ…龍星の香りだ*
と思いながらもたれかかっていた
龍星「人間ってやっぱり欲が出てくるよな…さくら…変な事言ってごめん。やけど 本心。」
ワタシは龍星がこんな事考えていたのも分かっていなかった
ワタシは自分の事しか考えていなかった
伊織さんはどう思うのだろう
どうしたらいい?
ワタシ「龍星…龍星の事ワタシ好きだよ?龍星がワタシの前から居なくなったらどうやって生きていけばいいの?」
龍星「離れないよ」
ワタシ「いっ伊織さんの子だったら?」
龍星「離れない。」
ワタシはダメな事をしている
分かっている
龍星はもっと普通のお嬢さんと居た方がいいのだ
分かっているけど……
無理だよ
嫌だ
龍星も伊織さんも離したくない
……ワタシは最低だ
龍星はそんなワタシの顔を見ながら
「俺は今まで伊織と同様沢山の彼女達の子をおろさせてきたクズだよ。
…でも、今はどっちの子供か分からないさくらのお腹の子が愛おしい」
そう言いながらお腹を優しくさすってくる
龍星「明日、一緒に病院行こな?」
と、こんなワタシに優しく言ってくれた
続く
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