#9 毒親の進化②
悪魔の家から脱出
大学生のときは一人暮らしをしていた。
小3のときに、一人で生きて行く力をつけて悪魔の家を脱出する---
そう決めてから私は用意周到に計画した。
パートで働いていた割にあの人は羽振りが良かった。お金を持っていることは早いうちから知っていた。後で知ったが株で儲けていたらしい。バブル時代の恩恵だ。
また、あの人は自分の見栄のためにはお金を惜しまない性格ということも分かってきた。
名のある大学に行けば喜んでお金を出すだろう、たとえ遠方でも---
私の読みはあたった。
学費も生活費も出してもらうことに成功し、家を脱出することができた。
普通は感謝するのだろうが、慰謝料だ、くらいに思っていた。
家を脱出できた嬉しさのあまり、この気の緩みから痛い目にあったことは、前回書いた通りだ。
自分は100%正しい
離婚後に電話攻撃が悪化した。
離婚後は味方がほしかったのかもしれない。娘である私にそれを求めたのかもしれない。でも私は父親の悪口は黙って聞いていることは出来なかった。
あの人は自分は悪くない、父親が100%悪い、と思っていた。これには同調できず慰めることはできても、味方になることはできなかった。
喧嘩両成敗というではないか。
何があったか本人達にしか分からないが、離婚に至ったということは、結果、どちらも悪いのだ。
正論なのかもしれない。キレイごとなのかもしれない。
いちいち反論しなければいいのに、分かっているのに、なぜか私は反論してしまう。1%でも自分が悪いと言ってくれさえすれば受け入れられたのかもしれない。しかし、一向にその気配はなかった。
私はどちらの味方にもならない。言い続けた私も相当な頑固だ。
当時は携帯電話もなかったので、家の電話のみ。
大学から帰ると留守番電話のメッセージがフル。全部あの人からだった。延々と自分が正しいという主張が録音されている。
最初は折り返し電話もしていたが、毎日もできない。
こちらもお気楽な大学生とはいえ、生活があるのだ。勉強にバイトに忙しかった。
そのうち、留守番電話のメッセージが脅迫めいてきた。
忘れかけていた悪魔の声が留守番電話から聞こえてくる。恐怖を思い出した。やばい。すっかり油断した。
ある日、家の前に車が止まっていた。そう、あの人の車だ。
きっと悪魔が出てくる、恐る恐る近づいた。
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