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自尊心

 自尊心とは、心理学で自分への自信のことをいう。自分自身について考える際に、自分を基本的に価値ある存在とみなせる感覚のことを指す。この自尊心には、2つの種類があるとされている。ひとつは長期間安定している特性自尊心と、もう一つは、個人が置かれている状況によって短期間で変化する状態自尊心である。「私は自分に自信がある」と答えられる人は特性自尊心が高いと考えられます。しかしながら、自分に自信のある人でも、大きな失敗をした後には落ち込んでしまうかもしれません。このようなその時々の状況によって変わってくる自尊心が、状態自尊心である。
 一般的に、特性自尊心の低い人は、対人関係においてネガティブな感情を感じやすいといわれている。特性自尊心の低い人は、対人関係で自分が相手に受け入れてもらえないのではないかといった不安を感じやすいため、他人の言動を過度に気にしやすく、ストレスを感じて気分が憂鬱になりやすいためである。また、自分にあまり自信がもてないために、他人の曖昧な表情や言葉からでもネガティブな意図を読み取りやすい傾向がある。
 状況や環境によって変化する自尊心である状態自尊心が低くなると、人は自分が認めてくれる相手や自分を高く評価してくれる相手に好意を抱きやすくなる傾向がある。このことは、好意の自尊理論と呼ばれ、Walster,Eが実験を行っている。この実験では、状態自尊心の違いにより、特定人物に対する好意感情の差異を調べている。結果、状態自尊心が低下し、自信がなくなった条件においては、自分を高く評価してくれた相手に対してより好意を抱くようなると推察されている。つまり、人は不安な時や自信が揺らいだ時には、それを補うように自分のことを肯定的に見てくれる相手に対して魅力を感じてしまうものであると指摘されている。


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