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老化

 老化現象は細胞の機能低下による臓器の機能低下であり、細胞の機能低下は細胞の寿命と密接に関係している。細胞は分裂し、再生することで若さを保っている。生体は多くの細胞から構成されている。再生系細胞(血液、皮膚など)は比較的速い周期で分裂・再生し、分裂を50~60回繰り返すと細胞の寿命を迎えるとされている。一方、神経細胞や、筋肉細胞などの非再生系細胞は分裂・増殖せず、ゆっくりと機能が低下していく。細胞の老化には2つの学説がある。1つは、エラー蓄積仮説といい、細胞が長い間に少しずつ障害を受け、その蓄積によって細胞の新陳代謝の機能が低下していくことである。2つ目はプログラム仮説といい、細胞の核にある遺伝子にあらかじめ仕組まれているプログラムによって、細胞の機能が低下するとする説である。染色体の末端部にはテロメアとよばれる装置がついており、細胞が分裂するたびにテロメアは短くなり、いわゆる細胞分裂の回数券と例えられている。テロメアは細胞分裂の回数を決めているが、テロメアの長さは、細胞分裂だけでなく、酸化ストレスなどの外的な因子でも短くなり、老化にはいろいろな因子が複合的に関わっていると考えられている。老化した細胞は、最終的にはアポトーシスやネクローシスといわれる細胞死に至り、細胞の脱落、臓器の委縮、機能低下が起きる。

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