インテリアの仕事の始まり ヴィコ・マジストレッティの家具との出会い
1987年にCassina Japan (カッシーナ) という当時とても小さな家具インテリアの会社に、2年半の三井不動産R.から転職しました。
インテリアという当時はまだ早く新しい業界に夢を感じていたものの、大きな志はなく、漠然と2、3年くらい美しいものに関わるきれいな仕事をしてみたいという若い憧れだけでした。
たまたま良く知らずに受けた、Cassina Japan カッシーナ。
1次筆記と面接をパスし、2次の実技試験に向かった。
会場には、10人くらいだったか、皆、予習してきたと話し、熱気がすごかった。
私はカッシーナは一度ショールーム見学はしたことはあったが、興味なく予習せず何の知識なく受けました。
一冊の厚いファイルと図面と見積書フォーマットが配布され、決められた予算内で商品を選び図面に落とし込み見積書を作成し、役員にプレゼンテーションするという厳しい試験でした。
試験会場(小さな会議室)で初めて見たカタログ、そこにある家具やプロダクトの美しさに目を奪われました。
イタリアの建築家デザイナーの ヴィコ・マジストレッティ Vico Magstretti のデザインも初めて見ました。直感的に、マジストレッティの家具をいくつか選び、コルビジェと合わせ図面を描きました。見積はもう賭け。
最後の数分で計算した見積書は偶然、予算にぴったり、良い数字になりました。
そして、社長と役員にプレゼンテーション。
社長より「君のプレゼンが一番いいよ」と言われ、驚きました。
全てが直感だったのに、不思議な大きな出会い、縁を感じました。
そして、チーフコーディネーターとして選ばれ、まだ研修中の入社3日目からはじまったプロジェクトは大きなもので、ヴィコ・マジストレッティが日本で初めて(後も)設計デザイン監修全て行う住宅のインテリアを担当することに。
試験では初めて知ったマジストレッティ、仕事で何度もお会いできましたし、デザインもすべて今も一番好きな建築家デザイナーです。
最近では、マジストレッティまでコピー品(本物とは全く違う粗悪品)が、しかも大手インテリア会社でも出回っていて、最もらしく引用した文を自分の言葉のように使うプロまで出てきました。実に残念です。
本当にあったこと、昔のこと、私の経験から見たことだけではありますが、今後少しずつ書いていきたいと思います。