見出し画像

水素ガスが麻酔による神経細胞死を防ぐメカニズムを解明-東京都健康長寿医療センター研究所

研究が進む水素の医療応用

東京都健康長寿医療センター研究所は水素の医療応用について、注目のプレスリリースを発表しました。
以下、プレスリリースからの要約です。
同センターの池谷真澄研究員、大澤郁朗研究副部長らの研究グループは、新生仔マウスを対象にした研究で、水素ガス吸入が麻酔薬セボフルランによる神経細胞死を抑制し、この作用はタンパク質リン酸化の制御と関連していることを発見しました。この研究成果は、多様な疾患で神経保護作用を示す水素分子の新たな作用メカニズムを提唱するものです。 研究成果は令和6年6月に国際神経化学会誌である『Journal of Neurochemistry』に掲載されるということです。
水素分子には抗酸化作用と抗炎症作用があり、その作用メカニズムにはタンパク質リン酸化の制御があることを明らかにしました。水素分子は水素ガスの吸入と水素水の飲用によるさまざまな疾患での病態改善効果が報告され、健康長寿に向けた効果的ツールとして世界的に研究が進められています。作用メカニズムの解明はこれらの医学的応用研究を促進するための重要な基礎的知見です。また、本研究では、至適濃度の水素ガス吸入が、麻酔による毒性からの幼若神経の保護に有効であることを示しました。水素ガス吸入は手術中の新生児の脳を保護するための新たな治療戦略として期待されます。(以上、プレスリリースから)

様々な分野で注目される水素の可能性

水素を燃料に使った自動車開発が進められていますが、水素を医療に活用するという研究が進められています。水素には弱い還元力があり、体内にできる猛毒ヒドロキシルラジカルのみ還元してくれるという特性があります。2007 年に東京都健康長寿医療センターの大澤郁朗博士らが『ネイチャーメディシン』に、水素分子の生体防御効果を発表して、一躍、世界的に注目を浴びました。色々な応用が考えられるのですが、慶應義塾大学病院では、「水素ガス吸入療法―心停止になった時の脳の酸素不足のダメージを水素によって軽減する」という研究を行っています。また、水素水によるパーキンソン病の抑制も研究中です。
水素の医療応用について、実用化に向けた進展が非常に注目されています。
今後も最新医療のプレスリリースに注目していきます。