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原因不明の歯や舌の痛み不快感! 診断難民の果て、『舌痛症(ぜっつうしょう)』と歯科心身科でやっとわかった。歯科医もあまり知らない…

最近多いらしいのに、歯医者も知らなくて…

舌痛症なのに、診断されていない人々が一杯いるはず

「舌痛症」と診断されるまでに、かなりの時間を要したある患者さんの体験談です。同じような症状で困っている人がたくさんいるのではないかと思います。是非、受診の参考になさってください。

一年間、舌の異常、それにともなう味覚障害にも苦しんだ

いつしか知らないうちに口の中の異常に気がついた。
「あれ? 私って舌ってどこに置いてたっけ?」
という疑問が起こった。舌の収まる場所がわからなくなった。なんでこんなに舌が気になるんだろう。舌の収め場所がわからない。今までそんなこと思ったこともなかったのに、毎日気になるようになってしまった。
そんなとき、鏡で舌を見ると、舌が大きく膨張していた。明らかにむくんでいて舌の脇には歯型がついていた。「ああ、舌がむくんで収まらなくなっているんだ」と思った。
そうこうしているうち、舌の先の方がヒリヒリ、ピリピリしだし、口の中で歯などに当たると更に痛い。ほとんどずっと絶えず痛い。と同時に、舌の裏あたりから出る唾液の異常に気づいた。何か酸っぱい。酸っぱい唾液が絶えず出ているような感覚。しかも、日によって症状が変わる。口の中の上顎の裏の表面がザラザラとする。
表面の皮膚が傷ついて傷んでささくれだっているような感覚。舌の痛みを軽減させるために冷たい水を口に含んだり、お茶を飲んだりしても変わらない。歯の表面に食べ物がベタッとくっつきやすくなって気持ち悪い。こまめに歯磨きをしないと不快感がついてまわる。
舌がむくんでいることから、身体の水分代謝がおかしいのだろとも思った。
たしかに、口の中が乾いたり、時にベタベタしたり、唇がカサカサになったり透明な痰がからむような時もある。
そういった症状が毎日、四六時中ずーっと続くのである。
料理を作る時にも、口の中の酸っぱさのせいで味付けがよくわからない時もある。なかなかにストレスな状態だ。こんな状態が1年近く続いた。
何をしても改善されない。ずっとこのまま治らないのだろうか。
酸っぱいということは、その唾液のせいで歯が溶けたりしないのだろうかとだんだん心配に。

思えば、2年前の歯のクリーニング後に異変

何が原因かは自分でもよくわからないが、思い返すと2年前に歯のクリーニングをした時に、下の歯の裏側がきれいになったせいで歯の縁の鋭い感覚が舌にあたり、妙にそれが気になり、毎日舌でそこを触っている状態となった。そのあたりがきっかけの一つだったのかもしれない。舌で触れるそのちょっとした感覚が絶えず何かの信号を脳へ送っている状態だったのかもしれない。あるいは、脳の機能の何等かの問題で、舌が過敏な反応をしていたのかもしれない。

そのほか、極度のストレスがあった

また、同時にかなりの慢性的腰痛があったのと、更年期症状でホットフラッシュもあり、ホルモンの低下と、服用していたホルモン剤などの不調和により 身体のバランスはガタガタだった。
そこへもってきて、老齢のペットが病気になり、自分の身体の調子がかなり悪い中、ペットの介護が数ヶ月に渡って重なり、さらに仕事など日々のストレスもあり、振り返るとひどい状態だったと思う。
睡眠時間は少なく、朝起きたときのひどい腰痛と、1時間くらいかけて身体をほぐさないと動けない状態、 目が覚めた時には鬱のような状態が続いた時期もあった。
そんな中での口の中の異常な感覚。それはさらなるストレスとなっていた。朝一人ポツッと「辛い。。。」とつぶやいていたことも何度かあった。

いろいろ受診しましたが…

まず漢方を受診する

とにかくなんとかしなければと、まずは水分代謝を整えようと漢方医を受診し、漢方薬を処方してもらい数ヶ月服用。徐々に舌のむくみは取れていったが、舌の異常な感覚はなかなか変わらなかった。

歯科では「特に異常なし」

同時並行して、歯科に行き、状態を説明するも「特に異常はありませんよ」の一言で終わり!

内科受診も問題なしで、打つ手なし

酸味があるので胃腸の異常も関係するのかと内科を受診するも「胃はきれいですね。逆流性食道炎のあとがありますが、食べ方と、食べたあとすぐに横になったりなどしなように気をつけてください。あとは特に問題ありませんね。血液検査もしましたが、特に問題のある箇所はありません」と言われる。あとはどの病院へ行ったらいいのか。。。口腔外科か、はたまた総合診療科か、、…。

やっと検索でヒット、「舌痛症」

そこで、ネットで検索した。
「舌がヒリヒリ痛い」「ピリピリする」「舌先が赤い ヒリヒリ ピリピリ」
「口の中が酸っぱい」「ネバネバする」「ヌルヌルする」…。
なかなか該当するものにあたらず、それでやっと見つけたのが「舌痛症」というものだった。自分の症状にかなり当てはまるものがある。こういう症状で悩んでいる人がいるということ、また、その専門の病院やクリニックがあったということにちょっと安堵した。
「歯科心身症」という専門のクリニックがあったのだ。
中高年の女性になりやすいということ、さまざまな症状がとても当てはまるものが多かった。自然に治る人もいるようだ。自分も1年以上たって、現在、徐々に軽減はしてきている。

やっとわかって貰えた! 〝歯科心身科〟

こんなタイミングでクリニックを見つけた。
医師によると、昔から研究はされているが完全には解明されていない。しかし、大分解明されつつはあるようで、薬での処方で7割くらいの人に改善がみられるという。
脳の機能の何等かの不調和が原因のようではある。何かの痛みを日常的に感じ続けているなども原因の一つになるようだ。良く考えれば、確かにその状態はかなりのストレスといえる。
初診時はかなりの時間をとってくれ、歯の状態や骨のレントゲンなどいくつかの検査も行ない、症状を事細かく聞いてくれた。診察の結果は、やはり「これは舌痛症ですね」と言われ、治療法はいくつかあり、7割くらいの人は改善されていますので、大丈夫ですよと言われた。
受診した時点では、かなり酷かった症状が軽減していたこともあり、自分の場合は、軽めの薬を処方してもらい経過観察中である。脳の機能の不調和ということで、安定剤の類を処方された。

治療が始まって感じた「睡眠」の改善

服用してみて一番感じたのは、睡眠に関してだった。それまでは毎日睡眠が浅く、疲れがとれにくかったが、以前より、眠れるようになった。若干、眠気が日中に残ることもあるが、それに伴い、気力も戻ってきているように感じる。完全にはまだ治っていないが、ひどい症状の時からしたら大分、状態はよくなってきている。

治療法が見つからずにいる人のために

いつなんどき、どんな病気になるかわからない。しかも、その状態の苦痛は本人にしかわからない。いくら周りの人に説明しても、なったことのない人にとっては実感できないので、どれほどのストレスなのかはわからないだろう。しかし、同じ病気や症状になったことのある人には理解ができるだろう。
とりあえず、対処法はあるようだ。かなり以前から認識され、研究はされているようではある。しかし、医師の間でもそれほど認知度は高くないようで、知らない医師は多い。
医師だけでなく、患者側にもあまり知られていないように思う。同じ症状で苦しみ悩んでいる一人でも多くの人に何等かの安心材料になればと思う。

1986年には日本歯科心身医学会も設立

「舌痛症」は、まだまだ認知度が低く、歯科医でも詳しく知らず、適切な治療につながっていない場合も多くある反面、歯科業界では古くから知られ、1986年には、日本歯科心身医学会も設立されているということです。

すっと答えを出してくれる名医にすぐ出会えると良いのですが、なかなかそうはいかないことが多いのですが、あきらめずに探しましょう!
日本歯科心身医学会のホームページに、舌痛症ほか、お口の症状で困っている患者さん向けに、情報が提示されています! 
東京医科歯科大学病院にも、歯科心身医療科があります。