医療行政の後進性を見逃さない! いずれ自分のところに返ってくる
後期高齢者医療制度で保険料の全国平均が初の月7000円超見込み
先日、75歳以上の「後期高齢者医療制度」の今年度の保険料は、全国平均の月額で初めて7000円を超える見込みとなりました。現役世代の負担増を抑える制度改正などによるものです。
名医の方々に取材したとき、名医の方々が、日本の医療行政全体の問題点をいろいろ指摘されていました。医療の向上には、技術の進歩だけでなく、それを回していくシステムのバージョンアップが必要です。
国民一人一人が問題意識を持てば、まわり回って、その効果は、結局いずれ自分の元に返ってきますから、日々疑問に思ったことは、何らかの形で発信していきたいと思います。
有限な税金をどうやって有効に使うか?
日本は、世界でも珍しい「国民皆保険」です。国民全体がその恩恵にあずかっています。しかし、超高齢化が進む中で、GDP(国内総生産、国の経済活動状況を示す)の成長率に比して医療費が上がり続けており、今後立ち行かなくなるのは明白です。
【高度医療施設のセンター化】
日本では、高度な医療を受けられる病院が分散しています。病院の選択肢が広がる一方で、患者が分散するために、各病院の治療レベルの向上が課題になっています。
諸外国では、高度な先端技術が必要とされる治療や重症患者を受け入れる施設をセンター化しています。難しい症例をたくさん受け入れることによって、医師の技術が格段に向上します。
【診療時間も保険適応へ】
病気の早期発見・早期治療が重要ですが、そのためには、初診での丁寧な診療が不可欠です。それを国民自身も望んでいます。それが進まない要因として、保険制度の保険点数の配分があります。治療を行わないと点数がつかない、例えばどんなに丁寧に問診をしたとしても、それが診療点数に反映されなければ、なかなか続くものではありません。医師も、したくて「3分診療」をしているわけではなく、せざるを得ない背景があるのです。
【混合診療の認可】
今、保険制度では、保険診療と自由診療の混合は認められていません。自費を払っても、もっと違う治療を試してみたい人にとって、自由診療を行うと、すべての治療費を自費で賄わなければならないことになり、現実不可能な場合が多々あります。混合診療を認めることで、医療技術の進歩を国民自身も後押しすることができます。
『国民のための名医ランキング2024~26年版』402頁より