本の紹介「マンガでわかる愛着障害/岡田尊司監修・松本耳子漫画」
最近、よく目にする愛着障害という単語。
私は、「幼い頃に愛情をきちんと獲得出来なかった人達」と解釈しており、私自身も自分が愛着障害だと思っています。
この本は、アートセラピーを行なっている「アートスクール アトリエ」に訪れた莎菜(さな)と朔太郎(さくたろう)、そしてアートスクールのオーナーの茜さんを中心に話が進んでいきます。
二人は愛着障害ですが、莎菜は人の顔色ばかりうかがい漠然とした不安に怯える不安型、朔太郎は人と関わるのが苦手な回避型で、同じ愛着障害でも異なるケースです。
私は、莎菜と同じ不安型だと思いました。
愛着を脅かす深刻な状況は二種類あり、ひとつは死別や離別により愛着対象がいなくなること、もうひとつは守ってくれるはずの親が虐待をしてくるパターンです。
私の場合は後者ですね。
愛着というのは物凄く大事で、子供は母親に守られているという安心感があると(どうして母親限定なのだろう?)外の世界を冒険しますが、この部分が不安だと子供はこれが出来なくなります。
愛着により安心を得て活動する動きを「安全基地」という言葉でも表されており、「安全基地」を確保している人はストレスにも強いです。
幼い頃にしっかり守られて育った人は、大人になってからも自分をうまく守れます。
愛着は人格の最も奥にあり、要は全ての土台を担っています。
愛着障害の人は、
・人に異常に気遣い疲れる
・自己アピールが苦手
・本心を抑えて相手に合わせすぎて自己嫌悪
・常に心は冷めていて、何事にも本気で取り組めない
・損すると分かっていても意地を張ってぶっ壊してしまう(私が超これ)
ストレスや脅威に対して、過剰なまでの愛着行動を起こす人もいます。
愛着システムが活性化していて(私的には活性化というより壊れている気がする)愛着対象が自分のそばにいるしかないようにします。
これは私に物凄く当てはまるのですが、
本当はそばにいてほしい人を拒否、攻撃、無関心を装い、求める気持ちと傷つけられることへの不安や怒りといった相反する感情が複雑に同居する結果です。
どうりで私の恋愛が毎度上手くいかないわけだ!\(^o^)/
そしてこの本は、
愛着障害を知ることで、問題を解決出来るヒントを得よう!
というテーマを掲げています。
◆
ところで、アートセラピーとは何でしょうか?
アートセラピーは絵画療法や臨床美術といって、作品を創ることで脳を刺激したり脳の機能を回復させ、なおかつ心理効果もあるセラピーです。
不登校児や認知症にも有効なようです。
絵は言葉に出来ない気持ちを表現出来るので、普段言葉にしてない気持ちを描こうというもので、モチーフは描いても描かなくてもいいし、画材も自由とのことです。
「失敗したらどうしよう」と不安になる莎菜の心を見透かしたかのように、茜さんは「失敗から気付けることもある」と言っています。
では、何故創作が愛着の傷を癒すのでしょうか?
それは、創造が自分の内面を表現するからです。
愛着の傷を癒す特効薬は書く、描く、話す、といった自分の経験を語り尽くすことなのです。
しかし、経験を話すと言っても毎度話を聞いてくれる相手が見つかるわけではないですよね。
言葉にするのが難しいこともあります。
ですが、小説や絵なら一人でも出来ちゃうのがメリットなんですね(と、この本を読んで私はこう解釈しました)。
これらを生かして文学や芸術作品を生み出した偉人も多いです(作家に愛着障害を抱えていた人は多いようです)。
川端康成、ジャンージャック・ルソー、ミヒャエル・エンデ、アーネスト・ヘミングウェイ、そして溺愛していた乳母と引き離された太宰治etc...
◆
さて、ここまでは不安定型(ここから更に不安型と回避型に別れます)についてみてきましたが、ここで安定型について見てみましょう。
安定型は、
・第一の特徴として、対人関係が安定している
・自己肯定感がある
・自分が信頼している人がいつまでも自分を愛してくれると信じている
・愛情を失うことや嫌われることを思い悩まない
・助けを求めたら応えてもらえると信じている
・素直で前向き
・主義や主張をしても自分が嫌われると心配せず、相手に合わせるよりもオープンにする
うーん……。自己肯定感の低い不安型の私からしたら、なんだかもうビックリな最強人間ですね。
◆
愛着と依存症の関係について話は移ります。
本書で関係性はあると答えています。
依存症の原因は寂しさであり、傷付きやすくストレスに弱い→自分を支えるために何かに依存する・底知れない寂しさや満たされない空虚感を埋めようとする→物や人で「安心」を得ようとする→その対象になるのが
【物質への依存】アルコール、薬物、カフェイン、糖分の過剰摂取
【行為への依存】買い物(買い物依存・万引き)、恋愛、セックス、ギャンブル、自傷行為、過食
【人への依存】新興宗教、恋人やパートナー(虐待やDVに発展することも)
私、三種類ともあてはまってます\(^o^)/
しかも、本書曰く、真の安心は得られず寂しさを埋めようとエスカレートして依存症になっていきます。
◆
ときに、私達メンヘラは「自分を大事にしなよ!」と言われますが、私は自分を大事にするのがどういうことか全然分かりません。
本書ではこの話にも触れています。
愛着障害の修復過程には、赤ちゃんの頃からやり直すというものがあります。
「母親と枕を並べて寝たい」、「抱っこしてほしい」と言う人もいるそうです。
ただ、皆が皆これを出来るわけではないですよね。
周囲から受け入れられることや愛情を獲得した体験的なプロセスと同時にもうひとつ、
言葉を介した認知的なプロセスが必要です。
要は、内にあるネガティブを吐き出そうということです。
愛着障害の修復過程において、安全基地となる存在は重要で、自分の生い立ちや傷ついた体験と向き合い、封印してきた過去を整理し、統合し直す作業に媒介は不可欠です。
その媒介となるのが、友人や恋人、カウンセラーの存在です。
「風と共に去りぬ」の作者、マーガレット・ミッチェルは不安型愛着を抱えていましたが、旦那は愛着型でしたので、夫の助力もあり作品を完成させることに成功しました。
◆
安全基地の条件について書かれていました。
安全感を保証する……最も重要な条件で、一緒にいても傷つけられないことです。
応答性……相手の求めに対して応じることです。相手が求めていないことや求めていないときに余計なことをするのはNGです。相手がするべきことまで肩代わりするのも極力避けるべきですが、相手が傷つき弱っているときに一時的に甘やかすのはOKです。
共感性……共感することです。
安定性……そのときの都合や気分で対応を変えないことです。
誠実さ……相手の気持ちを尊重しつつ、必要なときには耳が痛くなることも言うことです。これまでにあげた4つの条件をクリアした上で本当に大切なことを伝えることです。
では、このような人がいないときはどうしたらいいのでしょうか?
ここで、仮の安全基地となるのが本やインターネットのサイトです。
自分を表現し、それに対して応答してもらえるブログやチャットは安全基地となる要素を備えています(但し、そこで傷つけられる危険もあります)。
また、「書く」という行為は黙って話を聞いてくれる話し相手に似ている、と本書には書かれています。
この章では私の好きなスティーブ・ジョブズについても書かれていました。
◆
愛着障害の克服について、最後に見ていきましょう。
克服において一番大事なことは、自分が安全基地になることです。
誰かの安全基地になること、先にあげた条件の中で一番重要なのは「共感性」になってきます。
相手の発言や背景にある心情を汲み取るメンタライザーションを鍛える→安全基地となる技術(先であげた5つ)を身に付ける→自分にもその技術を使えば安全基地を手に入れることが出来ます。
自分にこの技術を使うというのは、本当の気持ちを汲み取る→納得→安心安全という流れでぶれない精神が構築されていき、自己肯定感も生まれ心の安定や周りの幸せにも繋がります。
つまり、過去の親子関係も乗り越えられる可能性があります!
◆
愛着障害を克服するには、「振り返る力」を鍛えるのが大事です。
不安型の人は、問題が起きたときに過剰反応してしまうところがあります。
「振り返る力」は、自らの反省や相手の気持ちの推測や汲み取り、事態を俯瞰することです。
問題にしっかり向き合うのと同時に、客観的に事実を受け止め、過剰反応しないスタンスと最も関係しているも考えられてもいます。
端的に言うと、メンタライザーション=振り返る力です。
例えば、いつもすぐにメールの返信をしてくれる相手から返信が来ないときに、「冷たい」「こちらのメールが負担になっているかも」と考えるのではなく、「そういえば、最近相手に甘え過ぎてたな」といった感じで振り返ることです。
自分の行動にブレーキをかけると、相手は自分の気持ちを汲んでもらえたことで、その人に対する安心や信頼を取り戻し、人間関係の破綻を防げます。
メンタライジング力とは、今の自分の思いや欲求に飲み込まれず、相手の気持ちや自分の振る舞いを客観的に見る力です。
この力を身に付けるためには、感情の渦から少し距離を取る能力が必要で、同時に相手の気持ちを汲み取ったり感じ取ることも必要です。
前者は「内省する能力」、後者は「共感する能力」です。
自分が自分の親になることで、愛着障害を克服出来ることもあります。
愛着の原点は親との関係ですので、改善するのが最も望ましいです。
しかし、親と上手くいかない場合は、自分が自分の親になることで愛着障害を克服出来ます。
自分が親として、自分にどうアドバイスするかを考えて、「自分の中の親」と相談しながら生きていくことです。
過去は戻せないので、大人になった今、他者との関係性によって補うしかありません。
これに加えて、
自身が安全基地になることで愛着障害は克服出来ます。
◆
最後に
巻末に愛着スタイルの診断テストもついていました。
私は、予想通り「不安型」でした。
最後の画像は帯なのですが、この本は凄く読みやすかったし分かりやすかったので、興味のある方は是非お手に取って見てみてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?