本日の一曲 vol.397 トスカニーニ ロッシーニ ウィリアム・テル序曲 (Gioachino Rossini: Ouverture de Guillaume Tell, 1829 by Toscanini & NBC so)
ジョアキーノ・ロッシーニさんは、1792年2月29日、イタリア・ペーザロに生まれたオペラ作曲家であり、美食家でもありました。1810年の18歳のとき、オペラ「結婚手形」で作曲家としてデビューし、1829年の37歳のときに最後のオペラ「ウィリアム・テル」を作曲するまで、40曲近いオペラを作曲しました。ただ使い回しが多かったことはご愛嬌です。
ロッシーニさんは、最初イタリアで活動していましたが、1823年のオペラ「セミラーミデ」を最後にイタリアには別れを告げてフランスに渡り、1824年の32歳のときにパリのイタリア座の音楽監督に就任し、翌1825年のシャルル10世の即位に際して、オペラ「ランスへの旅」を国王に献呈し、「フランス国王の第一作曲家」という称号と年金生活を手に入れました。
しかし、1829年の「ウィリアム・テル」でオペラ界から引退してしまうのです。ロッシーニさんの後ろ盾だったシャルル10世は、フランス革命後の王政復古時代の王様でしたが、1830年の7月革命で失脚し、ロッシーニさんはそのときはうまく立ち回ったものの、やはりフランスには居づらかったのでしょう、1836年の44歳のときにイタリアに戻りました。イタリアでは宗教曲や小曲を作曲するのみで、「食」の方面に力を入れていました。そして、1868年11月13日に76歳でその生涯を閉じました。
ウィリアム・テルは、14世紀に生きていたとされるスイス独立の英雄であり、スイス人の6割はその実在を信じていると言われている人物です。
オペラは、スイスの若者アルノールとハプスブルク家の王女マティルドの恋物語とウィリアム・テルと体制側のジェスレルとの戦いの2つの物語が絡み合いながら進み、最終的には恋は成就、ウィリアム・テルの勝利という筋立てになっています。その中でウィリアム・テルが息子の頭の上に載せたリンゴを射抜くという有名なエピソードがあります。
さて、オペラ「ウィリアム・テル」の中での有名曲というと、運動会のBGMによく使われる「騎兵隊突撃」のギャロップです。おそらくどなたもご存知の曲かと思います。本日ご紹介するウィリアム・テル序曲の後半に登場します。
noteでもkcoo musicさんがこの序曲を紹介されています。
この序曲の演奏ですが、古い録音ではありますが、アルトゥーロ・トスカニーニ(Arturo Toscanini)さん指揮NBC交響楽団(NBC Symphony Orchestra)のものをご紹介します。前半の情緒豊かな演奏、そして突撃ラッパのあとの血沸き踊る演奏が素晴らしいと思います。
トスカニーニさんには、ロッシーニ序曲集という、録音は古いのですが素晴らしいアルバムがありますので、こちらもご紹介します。
「アルジェのイタリア女(L'italiana in Algeri, 1813)」序曲
「ブルスキーノ氏(Il Signor Bruschino, 1813)」序曲
「セビリアの理髪師(Il barbiere di Siviglia, 1816)」序曲
「チェネレントラ(La Cenerentola, 1817)」序曲
「泥棒かささぎ(La gazza ladra, 1817)」序曲
「コリントの包囲(Le siège de Corinthe, 1826)」序曲
「セミラーミデ(Semiramide, 1823)」序曲
「ウィリアム・テル」序曲
s(by R)