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アフリカにおける新植民地主義について

世界的にほとんど注目されていない日本では全く知られていない人権問題、新植民地主義について書き綴ってみる。

2019年6月、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS ナイジェリア、ガーナ等16ヶ国が加盟する西アフリカ地域経済協力のための組織)が、2020年内にこれらの国で使用可能な地域統一共通通貨を導入するという発表を行った。その通貨単位の名称をECOとする事が決定された。これによって西アフリカによる通貨体系が変わろうとしていた。これらの国は旧フランス植民地諸国のCFAフラン(セーファーフラン)という通貨が使われてた8カ国と独自通貨を持つ英語圏の6カ国である。

CFAフランは1945年第二次世界大戦が終わった直後にフランス植民地における共通通貨としてフランス政府によって導入されたものである。

CFAフランはかつてはフランスフラン、現在はユーロとの固定相場制であり、相場はフランス政府が決定する。

CFAフランには2種あり西アフリカ中央銀行が発行するXOFというものを使う国のグループと、中部アフリカ諸国銀行が発行するXAFというものを使う国のグループがある。XOFとXAFは相互に交換できない。これはフランス政府がこれら旧植民地諸国の金融政策を握りつつ、事実上分断統治により管理下に置いているといえる。
西アフリカ中央銀行には設立時から常に2人のフランス人が役員として常駐しており、重要な決定事項には満場一致ではならないとされているため、何事にもフランスの意向が反映されている。

西アフリカ中央銀行及び中部アフリカ諸国銀行内の国庫が不足した場合は宗主国フランスが届ける事になっている。但し条件として加盟国が持っている外貨準備の50%をフランスに預ける事になる。この割合は当初は100%であったが1973年から65%、2005年になってようやく50パーセントになった経緯がある。稼いだ金の半分はフランスに搾取されるのである。

経済の世界では外貨準備は国民の体力とも言われる事がある。これがこの地域の国々の成長の妨げとなっていると言われていると同時に、またフランス人がほぼ短時間勤務かつ休暇の多い労働スパンでの豊かな生活に繋がっているとも言われる。

CFAのCはColony(植民地)の頭文字であったが、後にCommunity(共同体)の略であると後付けで変更された。CFAフランは旧宗主国が旧植民地から搾取するための体系であり、これが新植民地主義の根幹である。

地域統一通貨ECO導入を求める背景には植民地支配の搾取や苛烈な奴隷貿易を経験したアフリカ諸国は欧米に対する強い不信感がある。第二次大戦後独立前からアフリカ諸国の解放と連帯を求めたパン・アフリカ主義というものがある。パン・アフリカ主義の思想がECO導入に影響を与えている。

固定相場制のCFAフランから変動性を持つECOに変われば植民地支配が遂に終了するという長年の悲願があった。自分達がアフリカ人として金融主権を遂に得るんだという悲願であった。

ところが突然、コートジボワールのワタラ大統領がフランスのマクロン大統領と共に、CFAフランを採用している旧フランス8カ国はCFAフランを廃止してECOを導入すると発表した。
この発表ではECOは変動交換レートではなく引き続きユーロに固定されたペッグ制であるとされた。つまりコンセプトも商標もフランス側に奪われて、アフリカ諸国の悲願を阻止されてしまったのである。

コートジボワールのワタラ大統領は親フランス的な人物である。
過去から現在に至るまで非常に長い間植民地支配に苦しんでいるアフリカ諸国の希望の光を潰してしまったのである。

米国や英国なども新植民地主義に食い込んでいる。中国も今やアフリカ開発が盛んでありフランスのこの動きを大々的に批判するものが現れない現実であり、現地の声も世界に拡散されないのである。

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