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"怪獣"は横軸にも縦軸にも拡大する~君も怪獣ヤロウ!(「怪獣ヤロウ!」感想記 ※ネタバレあり)
お笑い芸人「春とヒコーキ」のボケ担当・ぐんぴぃさん主演の映画「怪獣ヤロウ!」が全国ロードショー中です。
早速、TOHOシネマズ日比谷で、舞台挨拶付きの鑑賞に参加してきました!
…ので、記憶が残っている内に、感想記を記そうと思います。
かなり具体的な記載というつもりではないですが、あらすじはほぼ入っており、感想記なので当然「ネタバレあり」の前提でお読みください。
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感想記本文(※ネタバレあり)
皆さん、"夢"はお持ちだろうか?
持っていなかった人はいないだろう、教育等も「夢とは希望を抱かせるものという疑いようのない前提」で教えている。
ところがどうだ。
現実には「夢を叶える」というのはとてつもなく大変なことだ。
現に私も過去に抱いた夢などまるで実現できていない。
この場合、「夢=職業(プロ)」と解釈になりがちなのも悪い。
「大きくなったら何になりたいですか?」と聞くのは良くないと思う。
「職業」という形だけが夢ではないはずなのに。
本当は、「何をやりたいですか?」が正しいと思う。
もちろんそれでも答えは「職業」的な回答になるかもしれないけど、幼少には難しいかもしれないが、とはいえ、小さい内からこの聞き方の方があるべきだと感じている。
そんな、怪獣映画に憧れて自主映画も作った思い出がある、しかし、結局は、夢は夢、憧憬は憧憬のままとして忘却の彼方に置いた、ごくどこにでもいそうな無気力な関市の地方公務員、それがぐんぴぃが演じる「山田一郎」だ。
バキ童チャンネルでCMとして散々連発されて、都合の良いオチ扱いにされてw、ついにはそれだけで一本動画が作られてしまったが、この言葉は、実は続きがある。
「なんでも『どうしたらええんやろう』ばっかり…」
自分の意志・意向が無い息子への失望です。
何なら、周りに嘲笑された自主制作怪獣映画をやっていた時の方が、息子に自分の意志があったと思っているのです。
しかし、きっかけは清水ミチコさん演じる市長からの業務命令とはいえ、山田が監督を名乗り出る所から、物語は動き始めます。
手塚とおるさん演じる上司の武藤「あいつ、むちゃくちゃ楽しそうだよなぁ~…」
業務命令の範疇、シナリオは市長が「伝統」というポリシーに則した、無難でお硬いよくある地方都市PRのシナリオでも、山田は生き生きと、憧れだった監督を開始します。
しかし、そこにヒロイン「吉田まい」の不手際で、撮影した動画・素材を消失してしまいます。
実は次の日には市長が関市のお偉い方を誘ってロケと共に確認しようとしていたので、超絶大ピンチです。
本来ならば、正直に報告するのが正道であるところ、ぐんぴぃは吉田のHelpに無理矢理応えようとします。
極まったテンションで、伝説の怪獣映画監督・本多の所有する特撮グッズを借り、何故か火薬を振りまく、バーサーカーモードの山田。
武藤「俺ら公務員やぞ?!」
山田「公務員だって腹くくらなきゃいけない時があるんですよ!」
武藤「火薬の量、これでええのんか?!」
山田「わかりませーん!!!!」
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俺の中の土岡が冷静にツッコミを入れておりました。
結果として、誘雷針に落ちた雷が火薬に引火し、関市庁舎の屋上が大爆発!
市長「映画は中止!」
当然です。勝手なことをして、市長のメンツも潰し、それが爆発という派手な結果になって、世間にも周知に至っているのですから。
市長は終始敵役のポジションですが、これはどう考えても全面的に市長が正しく、山田ら観光課職員らが悪いです。
ミスに対するリカバリー、(そもそも伝達しないことも含め)完全にアプローチが間違っています。
吉田も間違っているし、吉田をかばうためとはいえ、明らかに山田の暴走です。
「いっつもこうだ…」と悔しがる山田。
そして、中学の時の嘲笑の続きなのか、特撮セットをぶち壊します。
しかし、「やりたいこと」を「やってはいけないこと」にしたのは、山田です。
自暴自棄は明らかに身勝手であり、しかし、そんな事は当然であることも含めて山田も自覚している。やり場の無い「怒り」が彼を支配します。
気持ちはすごくわかります。
ちなみにうろ覚えですが、当初の特撮撮影シーンか特撮を壊すシーンかのどちらかで、明らかにぐんぴぃの体重が増えて顎が太くなっていて統一感がないのも、お笑い的な見どころです。
……しかし、関市の声は、爆発という事故に対する抗議だけでな
く、懸命に頑張る山田らの姿をきちんと見ていた応援の声も多数ありました。
さらに本多監督から喝を入れられ、再起に走る山田たち。
一歩踏み出して自分の意志を込めれば、必ず誰かが見てくれている。応援してくれている。
ここからは関市中から協力を取り付け、映画の素材を集めまくります。
この映画は言うまでもなく「関市のご当地映画を撮るというテイの、関市のご当地映画」という二重構造になっており、八木監督の故郷への還元と怪獣映画への憧れがそのまま投影された形になっていますが、関市にはこんな企業が・お店が・そんな形の紹介が続きます。
しかし、肝心の怪獣(の着ぐるみ)は、爆発により壊れたまま。
その後の展開、山田自身が怪獣になるというものですが、ここは知らなくても笑っちゃうけど、バキ童ファンなら大爆笑のシーン。是非行きましょう。
同時に「怪獣ヤロウ!」の意味もわかるシーンですね。
最終的に、関市の今後の展望を語る席で無理矢理上映する流れになり、市長の心も開かせ、大団円で締めくくられるのでした。
ただ、その後のエピローグでは少し物寂しさも。
映画作りで盛り上がったのは一瞬だけで、終わればまた日常に戻る。
そうです。"祭り"という非日常は、その間のハイテンションも含め、いつまでも続けられる様には、人間、できていないのです。
しかし、そこには怪獣ごっこに興じる子どもたちの姿が。
一地方公務員の一瞬の爆発。
いや、もしかしたら線香花火だったのかもしれない。
しかし、意志を込めて力の限りを尽くした事が、多くの人を巻き込み、終わった後は次の世代に余韻を残す。
山田の意志は、"怪獣"になって、横軸にも縦軸にも拡がっていったのです。
予告などでは「忘れていた夢を掘り起こす」という流れがわかりやすく強調されています。
が、最終的に私の心に残ったのは、
「"意志"が、人を動かす、人を繋げる。
世の中とはそうして進む"意志"の集合体である」
という思いでした。
(要は「夢」だけに限った話ではないという事。ちょっと社会人的な見方すぎるかもしれませんが…。)
作中、流れとしてみた時、さほど「夢」が強調されている印象は個人的にはなかったです。「仕方なく」から「手を上げて…」と、その後も困難があっては「なんとかする」の連続である状況の方だったなぁと思ってまして、まぁ現実って実際、こんなモンなんですよね。
何もかもが思い通りにはいかないし、ピンチにもなんとかこしらえるなんてことは日常茶飯事ですから。
また、「"意志"が、人を動かす、人を繋げる。世の中とはそうして進む"意志"の集合体である」と述べましたが、これは「ミーム」に近いんじゃないかと僕は思います。
俗語流行語としての「インターネットミーム」のバキ童が、インターネットではない「ミーム」になったのです。
さて、あなたの中の"意志"は、どこにある?
それを”怪獣”として目覚めさせはしないか?
皆も「怪獣ヤロウ!」
ご拝読ありがとうございました…と言いたいところですが、少し真面目に書きすぎたかもしれません(^_^;)
特にこんなハードルが高い・重い話ではなくエンタメとしてすごくよく出来ている、楽しい映画ですので!
バキ童・春ヒコファンは言うまでもなく必見、知らなくても全然楽しめると思います!「怪獣ヤロウ!」観に行きましょう!!
エキストラ参加裏話
実はこの「怪獣ヤロウ!」。
去年の関市でのロケにエキストラとして参加しておりまして、3箇所ほどの撮影、すべて採用していただいていました。
(もちろんカメラのピントは合ってないので、言われないとわからんレベルなのですが。)
寒い中でしたが、1泊2日の関市旅行も兼ねて、楽しい思い出になりました。
ちょっと驚いたのは、実際に採用されていた場面が、自分が参加したから、という事を抜きにしても、妙に印象深いところばかりでした。
1つ目は、この映画、山田の中学校の頃の回想シーンから始まるのですが、山田の自主制作映画の後、最初に人間として出てくるのは、俺のケツのどアップからです。
(勿論、他にも写っている人もいるし、正面でどアップな訳ないのですが)
いや、さすがにこれはびっくりしました。
まさか俺のケツが冒頭飾るなんて。
2つ目は、映画製作の業務命令を受け、山田ら観光課職員が関市庁舎の玄関から出てくる場面で、右の柱で形態をかけているサラリーマン風の男性です。ま、ここはさほどインパクトある場面ではないですかね。
3つ目は、関市内で中継リポートをしていたら山田がインタビューされているシーン。この時のぐんぴぃさんは、あの黒いダウンジャケット姿でした。
そしてインタビューといえば…あとは、わかるな?
そのインタビュアーの後ろで歩いているサラリーマン風の男性が僕です。当然、現地では、インタビューされている所も見学できたのですが、まぁバキ童ネタは入ってくるというのは予想していましたが、予想していたが故に、使われた場面がバッチリガッツリ笑いかっさらっていくとは。
生であのセリフ見れたのは大変光栄でした。
実はロケの時系列順としては「3つ目」「2つ目」「1つ目」で、「3つ目」と「2つ目」は1日目の撮影で、「1つ目」は、2日目でした。
本当は休日だった2日目だけ参加してトンボ帰りのつもりだったのですが、急遽現地の撮影スタッフに「1日目も出てくれませんか?」と言われ、ちょうど年度内で切れる独自の休暇制度が使えたので弾丸で参加していました。
かつ、当日朝、言われていた予定よりも早く来てくれ、と言われまして…。電車では間に合わないのがわかっていたので、ま、「これも関市にお金落としに来たのもあるしな」と、タクシーでビューンからの走ってロケ地に行きました。
結果として「3つ目」の見どころのシーンに参加できたのは僥倖です。
現地を率いる方と雑談して、わざわざ埼玉から来たことに驚かれ「じゃあ次の日は少しばかりぐんぴぃさんと話させてあげるよ」と言われました。本来そういうのは禁止ね!という約束だったので嬉しい~ってなりました。
「2つ目」は、「3つ目」撮影日のお昼になってから、山田ら観光課職員らが出るシーンなので、手塚とおるさんも間近にいたのですが、ふっと見学タイムでは遠くに平山浩行さんも居まして、「大病院占拠じゃん」とは当然なりましたw
最後、「1つ目」のシーンですが、本当に関市内の中学校でのロケで、マジの生徒さん。合法的に学校に入りました。そこで、先生役的な感じで立っていました。まぁ寒かったので落ち着いてはヒーターに寄っていました。
映画をご覧になればわかるでしょうが、この時は田中要次さんがおられました。ちょっとお話させていただいて、一緒に写真も撮らせてもらいました!嬉しい!
で、肝心のぐんぴぃさんなんですが、ロケの内容を見てすぐにわかりました。
「これ回想シーンじゃない!ぐんぴぃ居る訳ないじゃん!!(#^ω^)」
業界の人ってテキトーだなぁ…と笑っちゃったのですが、まぁ元々話せるなんて約束ではないですしね。面白い笑い話ができた、と。
ちなみに、ぐんぴぃさんには顔を覚えてもらってはいないでしょうが、C105でやっと少し話できています(ロケ参加しました、とかの取りとめもない話です)。
嬉しかったです。
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だって、メロ●コラボで、春ヒコと艦これが被るなんて思わんやん…
好きなモノの勝手コラボを作る"怪獣"は抑えられへんかったんや…。