【読書記録】敗者のゲーム 原著第6版
タイトル:敗者のゲーム
著:チャールズ・エリス 訳:鹿毛雄二
”投資は敗者のゲームである”というのが筆者の主張。
敗者のゲームとは、どういう意味か。本書の中に分かりやすい例があったので、紹介しよう。
これを投資に置き換えて考えると、取引所取引の95%を占める機関投資家(=プロ)に勝つためには、「とにかくミスの少ない運用を目指すべきだ」ということになる。
[toc]
ミスの少ない運用とは?
筆者がいうところの「ミスの少ない運用」とは市場連動型のインデックスファンドのことを示す。理由としては、市場に勝つのは非常に困難であるから。インデックス連動型でないとなると、アクティブファンドで運用していくことになるが、本書ではアクティブファンドで運用することをオススメしない。理由としては、以下の通り。
では、次にインデックスファンドを運用していく上で、どのようなことに気を付けなければならないか。筆者は「投資の最大の課題は、株式・債券・不動産などへの長期的な資産配分の決定である」と述べている。適切な資産配分を検討し、一貫して忍耐強く実行する。これが大事になってくる。
平均への回帰
次に「年利○%の目標値」を定めた後の行動についてだが、筆者は以下のように述べている。
この部分はとても印象に残った部分。
例えば、自信が定めたポートフォリオの期待リターンが年5%とする。その年の前半で仮に+20%のリターンを出していたとしても、10年単位の長い目で見れば結局5%くらいに回帰していくということ。つまり、短期的な値上がりについては、高値で買うことになり、長期的な目線で見ると良いことではないが、なぜか投資家は株価が上がると喜ぶ。筆者はこれを[株価が下がることで、バーゲン価格で帰るのだから理論的には長期的利益にプラスだ。しかし、株価下落を喜ぶ人はほとんどいない。また、多くの人は株価が上がれば、追加投資リターンは低下するにも関わらず、ニコニコしてしまう。魅力的な洋服を8割引きとか9割引きで安売りするみせに背を向ける客はいないだろう。「バーゲンセールの時には買いたくない。値段が上がったら買う」などという客はいない。だが実際に、私たちは投資をする時、このような行動を取っている。]と述べる。非常に的を得た表現だ。
なお、自身が定めたポートフォリオの期待リターンから著しく運用成績が乖離している場合は、その原因究明と対策が急務となる。つまり、上がりすぎも下がりすぎもどちらも”正しい運用”ができていないということになる。
では、どのように運用すれば良いか?
まず、運用の目的を明確にする。つまり”何のために運用をするのか”を明確にしなければならない。
その上で、自分が取れるリスクの範囲を定めて適切に運用していく。例えば、今の手元資金が100万円あるとして、20年後に2,000万円にするためには、毎月どれくらい貯蓄が必要で何%で運用していけば良いかを明確に計算する必要がある。株式だけでは振れ幅が大きいので、債券などを組み入れることでリスクをヘッジする。その際の運用は必ずS&P500などのインデックスファンドを用いる。
そして、自身が定めた範囲から大きく逸脱していないを確認しつつ、半年〜1年のタイミングでリバランスを行い、適切な資産配分に戻していく。数年に一度のバブル、もしくは大恐慌が来た時も「今回は違う」なんてことは決してなく、一貫した投資方針を貫く。
結論
・投資は敗者のゲームなのだから、インデックスファンドで運用しよう。
・資産を築き上げるのは、適切な資産配分と一貫した投資哲学である。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?