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fieldnotes(日々の記録)

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リトルプレス『ありふれたくじら』の制作プロセス、随筆、うつろいかたちを変えていく思考の記録、などなど。不定期の投稿は、こちらのマガジンにまとめていきます。
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2024年5月の記事一覧

P.15|双子鯨の夢を見たら / If twin whales appear in my dreams

English follows Japanese. 国際芸術センター青森・ACACで開催中の展覧会「currents / undercurrentsーいま、めくるめく流れは出会って」にて発表している新作「双子鯨の夢を見たら」は、これまで私がめぐり合ったマッコウクジラたちそれぞれの異なる生と死に思いを馳せながら制作しました。 作品の中に、対となる詩を書きました。目の前にある現実と無意識のイメージ、夢と現実世界、あったはずの生と失われたもの。刺繍の表裏のような、二つの世界を語

P. 14 | 川村たかし著『ノルウェーから来た鯨とり』を読んで / Note on "Whalers from Norway" by Takashi KAWAMURA

(English follows Japanese) 川村たかし著、『ノルウェーから来た鯨とり』(1979年発行)を読みました。 舞台は明治40年頃の和歌山県・太地。かつて網取式捕鯨の担い手だった太地の鯨とりたちは、ノルウェー式捕鯨を導入した捕鯨会社の捕鯨船の働き手になっていく。伝統として受け継いできた鯨とりをやめ、新しい技術の捕鯨に適応していく人々の葛藤と若者の成長の物語だ。 創作文学として書かれたこの物語に登場する3名のノルウェー人の名前を見て驚いた。その3名の名は