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私は父が大好きだった。
今、私は実家とはほぼ縁を切っている。
父がどうしているか分からないし、多分もうこの先よっぽどのことがない限り知ることもないと思う。
こうなった今では信じられないことだけど、私はずっと父が大好きだった。
幼い頃に両親が離婚して、私と弟は父が引き取った。
母が精神疾患を患い子育ては不可能とされたからだ。
幼少期、父は私たちをとても可愛がってくれたし、父子家庭で寂しい思いをさせないためにと父の友人をたくさん呼んでホームパーティーをしたり、海にキャンプに行ったり、私たちはたくさんの大人に囲まれて育った。
遊びにもたくさん連れて行ってくれた。
思春期になっても父を嫌だと思うことはなかった。
父はおしゃれで、オープンな性格で、昔の恋愛話を色々してくれたり、服を選ぶのに付き合ってくれたり、頼れる友人のようでもあった。
初めて好きな人ができた時も真っ先に相談したのが父だった。
ここまで書くと理想的な父親に思えるかもしれない。
し、そういう面があったのも事実だから、縁を切る選択に至るまでは相当悩んだし、未だに罪悪感もある。
親との関係についてはもっと苦しんだ人もいる中で、自分も辛かったと口にして良いのかということは暫く葛藤もある。
けど、こういう父だったのは父の一面であって、そうではない父がいたのも確かだった。
父が優しい時は私が父の言うことをよく聞く「理想の娘」である時だけだったのだ。
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