見出し画像

【小学校受験】併願校の選び方

小学校受験をするご家庭が本命志望校を決めた後、次に考えることは「併願校をどうしようか」という点です。
「本命校1校しか受けない」という方針の家庭は稀で、小学校受験においても中受と同様に「志望校の他に複数の小学校を併願する」ことが主流となっています。

きちんと考えなくてはいけないと分かっていても、本命校を選ぶ時ほどの熱意も持てず「併願校をどのように検討すれば良いのか見当もつかない」と志望校を考える時以上に悩むご家庭も少なくありません。
ここでは併願校の考え方・選び方についてお伝えしていきましょう。

■併願校とは

併願とは一般的に複数の学校に願書を出すことを意味しますが、小学校受験における「併願校」とは第一志望の本命校以外に受験する学校のことを指しています。
そもそもなぜ併願校を受験したほうが良いのでしょうか。
まずはその理由を確認していきましょう。

併願校のことを「滑り止め」と表現する方もいますが、その言葉は安易に使わない方が良いと私は思います。小学校受験はテストの点数だけで合否が決まるものではなく偏差値なんてものは存在しませんから「この子の能力ならこの学校は受かる」という考え方自体が間違いといえます。
そもそも「滑り止め」という言葉にはその学校に対する敬意が全く感じられず、その考え方で受験に臨むこと自体学校側対して失礼にあたります。そのようなご家庭は学校側からも見抜かれると思っていた方が良いです。

■併願校を受けた方が良い理由

併願校を受験した方が良い理由はそのご家庭によってさまざまあります。
100家庭あったら100通りの考え方があると言っても良いでしょう。
ここでは、多くのご家庭に当てはまる代表的な理由を挙げていきます。

・いきなり本命校の受験では100%の実力が出にくい

併願校を受けないで一発目に本命校を受験する場合、本来のお子さんの実力を100%発揮することはなかなか難しいです。

本番ならではの独時の空気感をはじめて味わい、小学校という慣れない場所でいきなり1人で立ち向かうわけですから、当然のことながら緊張します。大人だってそうなのですから、ましてや5歳6歳のお子さんなら尚のことです。
「何がなんだか分からない内に終わってしまった」というのが本当のところでしょう。
本番の考査は思っている以上にあっという間に終わってしまいます。
あれだけ頑張ってきたのに、、、と後悔だけはしたくないものです。

・本番を経験することで場慣れできる

いくら模試を沢山受けていても、やっぱり本番は別物です。
本試験とはどのようなものなのか、一回でも他校で経験しておくと、子供なりに感覚もつかめ本命校では肩の余計な力がいくらか抜けた状態で臨むことができます。
普段通りのお子さんに近い状態で本領発揮できたら、力を出し切ることができたら、やり切ったという思うことができたら悔いも残らないはずです。

・本命前に成功体験を得て自信をつける

併願校で自分の思うように行動できたりペーパーが上手く解けたりすると受験に対して「楽しかった!」という前向きな感情を持つことができます。すると、自然と「次も頑張る!」という気持ちになり高いテンションで志望校に臨むことができ、時には実力以上の力が発揮されることもあります。
何より、いきいきとした子どもの姿は、学校の先生方にも好印象に映ります。

例え失敗したとしても、「本命でなくて良かった」と思えば良いことです。改善点が分かれば「次は同じ失敗をしないよう気をつけよう」と意識することが出来ますから。
考え方次第で失敗はその先の成功の源になり得ます。

■併願校を選ぶポイント

併願先は本命校の試験日と重ならない学校を選ぶのは当然のことですが、それ以外にどのようなことに注意して選べば良いのでしょう。
闇雲に手当たり次第受験するわけにはいきませんし、チョイスを誤ると本命校の試験に悪影響を及ぼすこともあります(特にメンタル的に)。
ここでは併願校を選ぶポイントを見ていきましょう。

・本命校と教育方針や試験スタイルが似ている学校を選ぶ

併願校の教育方針が本命校とあまりにも異なると、願書や面接で軸がブレやすく事前の準備も大変です。例えば大学まである附属校を本命として目指しているのに併願校が中学受験前提の学校では教育方針を語るにしても話が噛み合わなくなってしまいます。
キリスト教系の学校を本命とするなら併願校も同じにすると先生方の雰囲気や面接でも親和性もあり、違和感なく本命校への準備ができそうです。

また、本命がペーパー重視の学校なら併願先もペーパーに力を入れている学校の方が、本命がノンペーパー校で個別テストがあるなら併願先も同様の試験スタイルの方が、実りの多い経験が積めると言えます。

そうはいっても、簡単に同じ系統の学校を選択できないケースもあります。
本命校とは毛色の異なる学校を併願する場合は、きっちり学校研究をして時には願書内容や面接で語る教育方針も学校によって大きくアレンジする覚悟をもって臨むことをお勧めします。

・場慣れと割り切ってチャレンジするのか、確実に○をもらうことを優先するのか受験の目的を明確にしておく

併願校受験は何を目的とするかによって選び方も異なります。
主に本番慣れを目的として本命校に近いレベルの高倍率校にチャレンジする場合、合格を勝ち取ることは簡単ではありませんから、それなりの覚悟が必要です。
本命受験の前にしっかりご縁をいただき安心して本命校に臨むことを目的とするなら、考査の難易度や倍率も考慮して併願校を選んだ方が良いでしょう。

どちらの方針で併願校を選んでいくかはご家庭の判断となりますが、本命校の前に臨んだ併願校の試験で1つも合格をいただいていない場合、思っていた以上にメンタルにダメージがきます。保護者もですが、お子さんにとってもその後のコンディションに大きな影響を及ぼします。
「またダメかも」とすっかり自信を無くし、本命校で普段やらないような失敗をしてしまった、、、というご家庭もあります。
併願校も難易度高くチャレンジレベルの学校の場合、全ての受験が終わるまでお子さんには合否を知らせないと決めておいたり、パパママも結果に振り回されない強いメンタルが必要です。

・気になる学校はとにかく願書を出す

併願校をある程度決めても、本命校事前面接が併願校試験日と重なってしまったり、「生まれ月」や「あいうえお順」で受験番号が決まる学校では出願して返信が来るまで試験日時が確定しなくて本当に目当ての併願校が受けられるか微妙なケースも出てきます。
何があっても良いように、併願校は広く出願しておくことが最近の定番です。願書を送らないことには受験はできませんから。
「やっぱり出しておけばよかった」と後悔しない対策が必要でしょう。

・妹弟がいたらその子の受験のことまで考えておく

下に妹さんや弟さんがいる場合はどこまで手広く受験するかを慎重に考えたほうが良いケースもあります。
あれもこれもとたくさん出願して、合格をいただいた併願校を辞退することとなった場合、やはり学校側としては「蹴られた」わけですから良い印象は持たないでしょう。
上の子で蹴った学校を下の子で受験するのはマイナスからのスタートという自覚と覚悟を持って臨んだほうが良いです。
下の子のために受験しないで併願校をとっておく、という作戦も時には必要です。

■併願校で合格をつかむためにすること

本命校でお子さんが自分の持っている力を全て出し切る、あるいは弾みをつけて実力以上の力を発揮するためにも、併願校の試験では合格を掴んでおきたいところです。
本命校より倍率低いし試験も簡単だから・・・と油断していると足元をすくわれます。
ここでは併願校で合格をいただくために何をすべきが、確認していきましょう。

・説明会などの学校行事は積極的に参加する

本命校はどのご家庭も熱心に学校行事に参加しますが、併願校の訪問となると途端に面倒な気持ちになってしまい、足が遠のいてしまうケースがよくあります。HPもまめにチェックしなくて、気づいた時には説明会が終わっていた、となっては取り返しがつきません。
よく併願校にされてしまう学校側としては、「どれだけ本気で我が校を受験するのか」を計るためにも学校訪問をしてくれているのか、その回数までチェックしている学校もあります。

併願先として検討している学校の行事は、できるだけ多く、最低でも1回は参加することをお勧めします。

・本命と同じ熱量を持つ

少なくともその学校の在り方・教育方針を理解し賛同する気持ちは持っていないと願書や面接で見透かされます。我が子の成長をその学校で見届ける気持ちになれるかどうか、も大切です。

「どうしても行かせたい本命校があって他には気持ちが入らない」というご家庭でも、受験する以上はその併願校に対しても敬意を払い好意的に試験に臨むことは最低限必要です。

・「なぜわざわざウチのような遠い学校を志望するのか」に対する答えをきちんと用意しておく

都内在住のご家庭が埼玉校や神奈川校を受験する場合、学校側はどうしても「本命じゃないでしょ」と穿った気持ちで見てしまいます。その疑いの目を払拭するだけの答えをきちんと用意して、面接ではいつでも語れるように準備しておくことが大切です。

低倍率だから、難易度低い学校だから、とたかを括っては危険です。学校側は、たとえ定員割れしても来てほしくない家庭には合格を出しません。
誠実さと学校に対する熱意はどこを受験するにしても求められていると心得ておいたほうが良いでしょう。

■おわりに

併願校選びは、本命校を決める時とはまた違った難しさもありますが、重要度は同じです。
学校研究で頭を悩まし、行事参加が重なって体力も消耗する・・・小学校受験では心身ともに負荷のかかることが多い時期もありますが、「全ては我が子の幸せのため」そう思うとまた頑張れるのですから、不思議なものです。

小学校受験を決めたら、あとはもう進むしかありません。志望校と共に併願校もしっかり対策して、悔いのないように駆け抜けていきましょう。
この記事が小学校受験をするご家庭の一助となりましたら、私も嬉しいです。

いいなと思ったら応援しよう!