【備忘録】出逢ったばかりの贔屓が退団を発表した話③

ご訪問ありがとうございます🌸
初回はこちら、前回の記事はこちらです。

◇久城あすさんとの出逢い

色々な作品を楽しむ一方で、私と宝塚を出逢わせてくれた109期生のことも気になっていた。当然彼女たちは過去作には出ていないし、まだ番組出演も少ない。そこで私は、109期が出演した作品の感想を綴ったブログや投稿を探しては読んだ。どんなに短いコメントでも、気になる生徒が好意的に綴られていると嬉しかった。
その中で、定期的に見かけるコメントがあった。それは、“音綺みあが、同組のとある上級生にそっくりだ”というもの。その名も久城あす。
興味本位で彼女のプロフィール写真を覗きに行ったが、どちらもあまり見たことのない私は、似ているとは思わなかった。
だが何となく気になって調べてみると、久城あすについて様々なことが分かった。
繊細な歌声と巧みな芝居が持ち味だということ。お茶会ならぬトークショーでは、関西弁でマシンガントークを繰り広げていること。組内4番で配属されたのち、最終試験まで組内1番をキープした努力の人であること。ネットで見かけるあすくんファンの方々も、なんだか面白くて温かい人が多そうな印象だった。知れば知るほど、彼女を大好きになっていった。ご贔屓というのは舞台姿に惹かれて出逢うものだとばかり思っていたので、まさか“好きな娘役に似てる”ということがきっかけになるなんて思ってもみなかった。
そして私は大切なことに気づいた。
それは、彼女が94期生であるということ。現役生は3人しか残っていない。95期の退団ラッシュを恐れている場合ではなかった。


◇私が好きになった雪組のこと

いつしか作品や映像を観るときには彼女が出ているものを選ぶようになり、配信されている音楽もほとんど聴いた。柔らかい歌声、バランス感覚に優れたお芝居、クセのない踊り、豊かな表情、ユーモア溢れる人柄。それら全てに魅了された。
次第に私は、久城あすだけでなく、雪組にも惹かれていった。雪組作品をいくつも観て、生徒の名前もあっという間に覚えた。実は何年も前から名前だけ知っているタカラジェンヌが数人いたのだが、その数人が揃いも揃って雪組生であることも分かり、勝手に親近感が湧いたりもした。
トップスターは“誰かの夢”として在り続ける彩風咲奈。トップ娘役は美しく気高い夢白あや。贔屓・久城あすがいて、原点・音綺みあもいる。キラキラと輝く若手がいて、和やかな中堅層もいる。さらに、安心と信頼の上級生が多く在籍する。それが、私の好きになった雪組だった。
この頃の雪組はというと、ちょうど『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』の集合日の頃。トップスター・彩風咲奈の退団公演であり、同時に退団する生徒も発表された。柚香光も月城かなとも出逢ったときには退団発表済みだったので、顔と名前と舞台姿が一致している生徒の退団を受け止めるのはこれが初めてだった。雪組を好きになったばかりなのに、もうお別れだなんて。宝塚に限らず、出逢いがあれば別れもあるのが世の常ではあるけれど、どんな体制も永遠ではないことを改めて実感した。
残念ながらベルばらを観ることはできなかったが、大千秋楽の日は何となくフワフワとした気持ちで1日を過ごした。こうして、私が好きになった雪組は、瞬く間に美しい過去になっていった。


◇怒涛の12月

2024年12月1日、遂に私はリアルタイムでの配信観劇デビューを果たした。
演目は、星組『記憶にございません!/Tiara Azul -Destino-』。芝居は最高に面白く、ショーは最強にアツかった。堂々と舞台に立っていた舞空瞳が、デュエダンのラストや挨拶で「礼さん」と口にするときには顔を歪めて泣いていて、私も泣いた。
その翌週は『FORMOSA!!』の配信日だった。もともとその日は私用があったのだが、“もはやあすくんがヒロイン”という情報が流れてきて、配信を観ることに決めた。これは人生最大のファインプレーだったと思う。詳しい感想はまた別記事にするが、世界観も作品もとても気に入った。贔屓はもちろん素晴らしかったし、音綺みあもやっぱり可愛かった。おまけにバイト姿の贔屓もよく画角に入っていたので大満足だった。
そしてさらに1週間が過ぎた頃、ヅカファンを困惑させたあの発表があった。そう、大規模組替えである。初心者ながらに私も衝撃を受けたが、何よりも愛すみれと叶ゆうりの異動がショックだった。雪組ファンになった頃から愛すみれの組レポは欠かさず読んでいたし、どの作品でも叶ゆうりの独特な存在感に心惹かれてきた。もちろん彼女たち個人のことも好きだし、贔屓とも仲が良さそうだと感じていたから余計にショックだった。そして、次作は絶対に劇場に観に行こうと決めた。
かくして僅か1ヶ月の間に配信2回と組替え発表を経験した私は、公演完走を祈り集合日に怯える、立派なヅカファンへと進化したのだった。


つづく

いいなと思ったら応援しよう!