【感想】2024年雪組『FORMOSA!!』キャスト別感想
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『FORMOSA!!』全体感想はこちらです。
◇ジョルジュ・サルマナザール:縣千
いつもキラキラしてフレッシュな魅力がある縣ですが、個人的には彼女の抑えたお芝居や眉間に皺寄せ系な役どころが好きなので、今回のお役は非常に好みでした!
とはいえキラキラを完全封印したわけではなく、彼女の持つスター性と、ジョルジュの持つ人心掌握の巧みさが上手くマッチしていたように思います。
前半はジョルジュとして空想を語るときの方が楽しそうなのに対し、後半は本名のジャンでいるときの方が生き生きしているようになる…という変化が印象的でした。
あ、あとノールックで階段をスタスタ降りてきたのには感心しちゃいました。笑
◇シェリル・オズワルド:音彩唯
本作のヒロイン…ではあるものの、恋愛要素はほとんどなく、出番も少なめ。とはいえ、与えられた役の中で目一杯の存在感を放っていたのは、はばまいちゃんの技量あってこそだと感じました。
私は恋愛の絡まない物語もたまには上演してほしい派なので、こういったストーリーの中でも埋もれずにヒロイン然としていられるパワーは強みだなと思います。そしてやはりドレスも似合うし歌も上手い。真っ直ぐで好奇心旺盛なシェリルがあまりにも似合っていたので、(稽古場&初日映像で観ただけですが)あのジャンヌと同じ子!?と疑ってしまったほど。これからも色々なお役を見てみたいです!
◇ウィリアム・イネス:華世京
作品紹介を読んだ感じ、ジョルジュとイネスの友情物語に発展するのかと思っていたので、フツーに悪い人でびっくりしました。笑
で、研5にしてこの悪い2番手役をガッツリ演じていたかせきょー。役の個性もあると思いますが、キラキラな縣×落ち着いたかせきょーというコンビが面白くて、声の相性も良かったような気がします。
舞台度胸の素晴らしさは言わずもがなですが、とても印象に残ったのがラストのご挨拶のときのこと。周りの組子が天然な縣を微笑ましそうに見守る中、かせきょーはすごく真剣な眼差しで縣を見つめていたんです。私の気のせいかもしれませんが、責任というか覚悟というか、そういったものを感じて勝手にジーンとしてしまいました。
◇オリバー・オズワルド:久城あす
みんな大好きオリバーパパ。
美のDNAしかないヒロイン姉妹の父親にして地理学者、博学で冷静で慈愛に満ちた人格者です。
学者らしい視点で最初からジョルジュに疑いを持っているオリバー。ただ、決して彼を責めたり言い負かしたりするのではなく、彼の話を「面白かった!」と称え(この言い方が好きすぎる)、努力家で賢いジョルジュがなぜペテン師まがいのことをしているのかに興味を持ちます。この時点で、彼の話すフォルモサのあれこれにばかり興味を持つ他の学者や市民たちとは異なる視点で彼を見ていることが分かります。
そしてジョルジュという人間の内面に目を向けるオリバーですが、決して無理に話を掘り出そうとはしません。「話したくなったらでいい」と優しい眼差しを送ります。そして、ジャンがジョルジュとして生きることを決めたときにもそれを否定せず、「辛くなったらいつでもここへ来なさい」と告げるのです。さらには、自分を刺そうとした相手に「君が楽になるのなら刺しなさい」とか言っちゃうんですよ!?なんですかこの包容力!そりゃあ娘2人も真っ直ぐ育つし、蒼波ハレーも慕うし、縣ジャンも泣き崩れるよね!
そして、絶対に語りたい<♪聞かせてくれ>のこと。優しく温かい声で、諭すように包み込むように歌うあの場面には、客席中が心を動かされたことでしょう。もちろん私もその一人で、“自分を語る自信”ときて、勇気や強さではなく“愛”と続くところが、なんて美しくて温もりのある言葉選びなんだ…と感激しました。偽りの自分を演じていたジョルジュが、本当の自分を愛することを許されるあのシーン、本当に素晴らしかったです。
歌だけでなくお芝居も流石のあすくんクオリティーで、ちょっとした一言で客席を笑わせたり涙を誘ったり。お客さんの求める温度にぴったり合わせてセリフを放つあの感じ、上級生ならではって感じがして好きなんですよね~。
余談ですが、稽古場映像を見た時点で「こんなん絶対作中で死ぬじゃん!やだ!」と思っていたのですが、ナレ死の30秒後くらいにバイト転生してくれたので有難かったです。笑
まだまだ語れそうなくらい魅力いっぱいのオリバーさんでしたが、長くなってきたのでこのくらいにしておきます。別箱の長、お疲れ様でした!
相関図を見る限り、『ROBIN THE HERO』では全くタイプの違うお役な予感がするのでそちらも楽しみです。
◇その他キャスト 箇条書きチャレンジ!
まだまだ魅力的なキャラクターがいっぱいだった『FORMOSA!!』。
せっかくなので役付きキャスト陣について一言ずつでも記録しておこうと思います。長くなりそうですが…。
ヘンリー・コンプトロン:天月翼、威厳ある立場のはずがダマルフィにお世話されちゃっている感じの主教様。コミカルで可愛かったです。
アン女王:妃華ゆきの、心細くて頼りない感じがよく出ていて、役の雰囲気を纏うのがお上手だと感じました。そしていつもながらお綺麗…!
ペンブローク卿:叶ゆうり、圧倒的顔圧!!セリフが特別多いわけではないのに、1回1回の出番で鮮烈な印象を残していく怪演でした。かのゆりにしか似合わないのでは⁇という衣装とメイクで、存在感が凄まじかったです。
ダマルフィ:眞ノ宮るい、吊り眉&険しい表情のはいちゃんが大好きなんです、私。NOSで話していたこだわりの役作りエピソードに役者魂を感じました。
メリヤンダノー:咲城けい、声に出して言いたい役名第1位。普段のふわふわなイメージと違いすぎて最初出てきたとき誰か分かりませんでした!目元のメイクが濃いからかバイト中は眼鏡姿で可愛かったです。
サラ・ジェニングス:莉奈くるみ、凛としていて、静かな強さを感じさせる佇まい。アン女王とのバランスがとても良かったです。
フォンタネー神父:紗蘭令愛、作品の流れに抗っていく役目なのでとても目立っていました。今作でお顔と名前がばっちり一致しました。
エドモンド・ハレー:蒼波黎也、オズワルド姉妹の良きお兄さんポジであり、ラストを締めるキーパーソン。役的なものか本人の個性なのか、一際声が大きくて、ポストまなはる枠!?と思ってしまいました。喉壊さないでね。
バーメイドちゃんたち、ひたすら可愛かった~。衣装がラブポーション31みたいな色合いで、ちょっと艶っぽいお姉さま感もありました。みんな可愛かったけど、イチオシはすわんちゃんかな…。
レミュエル:風雅奏、表情が豊かでいつも生き生きとしていたので、カメラに抜かれるとすぐに分かりました!モデルはジョナサン・スウィフトかな?
ラウダー:希翠那音、稽古場レポにも出ていたので注目していました。噂通りの“ガハガハおじさん”っぷり!
皇帝:風立にき、立ち姿が綺麗!他のシーンでも姿勢が良い人がいると思って調べたらにきくんでした。配信ではあまりアップにならなかったので、もっと近くで見たかったです。
メイベル・オズワルド:星沢ありさ、以前から気になっていたありさちゃん。可愛らしくて華のあるビジュアルはやはり目をひきましたし、ちょっとした表情変化が楽しかったです。
少年ダンサー:音綺みあ、冒頭から伸びやかなダンスで魅せてくれました。空想世界の妖精ちゃんで出てきたときには歌声も聞くことができ、これは嬉しい想定外でした。舞台が大好き!という気持ちが溢れ出ているちゃみちゃんが好きなので、これからもそんな姿をたくさん見たいです。
青年ダンサー:律希奏、空想シーンだけでなく、議員バイトやコーヒーハウスでも見つけることができました。ダンスの見せ場が多かった印象なので歌声やセリフを聞けるのが楽しみです!
以上、バーメイドちゃんは一括りにしてしまいましたが、一応これで全役のはずです。ふぅ~、いっぱい書きました。
というわけで、オリエンタルな空想世界と“本当の自分”を巡る展開に終始わくわくしていた今作。キャスト・スタッフの皆様はもちろんですが、急遽予定を変更して配信を観た自分と、初日から「オリバーさんが良すぎる」との情報を広めてくださったみなさんに感謝です。笑
そろそろ次の別箱が発表される頃ということで、楽しみと寂しさで複雑な心境ですが、またこうして素敵な作品に巡り会えたらなと思います。
おしまい!