みかんちゃんと私
知ってた。大学に居場所がない。
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いや、知ってはいたけど辛いわ。敵はいても味方はいない。そして全てが敵に見える。
それでも、私はこの大学を卒業するしかない。大嫌いでもこの大学にいざるを得ない。
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お裁縫にお絵描き、これらが味方。だからたくさん作ったよ。編み物みたいな細かい作業はできなかった。あんなに好きだったのに。
何度も限界だと思った。だけど保育者になりたいから、執念で縋り付く。
毎日泣いた。週2で過呼吸を起こした。大嫌い大嫌い。
1限の授業はほとんど出ていない。ダメなことは私が1番わかっている。
声が出なくなった。意思を伝えたくても伝えられない。メモ帳に殴り書きか、スマホに打って、それを見てもらう。
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そんな中で、絵を描いた。造形の授業の課題だった。先生の意図したものとは違っているのはわかったけれど、立派なものを作り上げたいと思った。
放課後ほぼ毎日大学に残った。鉛筆で下絵を描いた。これはいけるのでは……?
描いているうちに嬉しくなって、笑い声が出た。造形室の先生が私の様子を見て笑った。楽しくて仕方がなかった。
ゆっくりゆっくり、色鉛筆で塗った。みかんの果肉の部分はぐるぐると色鉛筆を回して。肌の部分はピンクを混ぜて。
その絵ができた時、宝物だと思った。この絵は生きている、命を描いたと思った。
その勢いで切り絵の図案を描いた。かぎ針編みの要領で、細かく細かく。
デザインナイフで切り絵をした。予想以上に時間はかかった。
できた絵、できた作品、これらはずっと宝物。大学で居場所がなくても、絵を描いている時は無敵になれた。
その絵は今も宝物。
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