「がんばって」より「いい天気だよ」という、優しさ
子育てで喜びや成長を感じることは多々あるが、
母になり18年間で達成感を得たことはなく
社会人になるとか、結婚するとか、孫ができるとか、
そんな時までお預けなのかと思っていた。
でも、つい先日。達成感に涙した。
それは、長女の大学受験のときの出来事。
大学受験の数日前、友達と鎌倉に遊びに行った次女が
長女に「合格祈願」のお守りを買って帰ってきた。
私は次女から直接聞いたわけではなく、
「”落ちたらお金返してよ”って渡されたんだけど」という
長女からの報告で知った。
生意気で照れ屋で、実は優しい次女っぽいとふたりで笑った。
大しておこずかいを渡しているわけではなく、
電車賃とランチ代を払えばそんなに余裕はないはずなのに。
「やるな」と次女の背中をポンと叩いて褒めた。
そして、受験当日。前夜に私と次女でメッセージを書いた
キットカットを長女に渡し、玄関で送りだそうとしたとき。
次女が玄関の扉を開け、長女にこう声をかけた。
「ねえ、すごいいい天気だよ。すごい青空!」
このとき、子育ての達成感を初めて感じた。
「頑張れ」よりも、「大丈夫だよ」よりも、あたたかい。
長女の頑張りを近くでずっと見てきたから、
プレッシャーを感じているのを知っているから、
大好きなお姉ちゃんだから、大事な家族だから。
「頑張れ」じゃない優しさを、彼女なりに一生懸命探して見つけた言葉。
この優しさがあれば、十分じゃない。
あなたは、きっとこの先も大丈夫。
何より大切なものが心の中にあることが、
母としてとても嬉しく幸せだった。
合格発表の日、姉妹が抱き合いながら大泣きして
喜んだシーンは一生忘れないと思う。
次女は勉強が得意ではなく自身の大学受験を
案じているようだけど、母は何も心配していない。
頑張りどきは、人それぞれ。
健やかな心があれば、いつだって頑張れる。