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ライオンとウサギ。〈エッセイ〉

先日の取材で「おもしろいので、一緒に行きませんか」と
アート関係者の方にお誘いいただき、
東京藝術大学大学院の卒業修了作品展に行ってきた。

ひとり一室、自身のアトリエを使った作品展示。
みんな違ってみんないいとはよく言うけれど
感性ってこんなにも幅と種類があったかしらというほど
部屋ごとに目まぐるしく世界が変わる。
澄んで尖った主張がキラキラと眩しい一方、
これを機にアーティストになるか、そうでない道を歩むか
決断をする子もいるという話を聞くと
現実が迫った精一杯の夢の体現は、そこはかとなく切なさも纏う。

それでも、画家は亡くなってからでないと
評価されないという時代に比べたら、
今はSNSの手伝いもあって圧倒的にチャンスが多く、
若いうちに人気となるアーティストも増えたそう。
ただ、そこは他ジャンル同様で、消費スピードも早いらしい。
次、次、次。

そんな時代に育ち、生きる人たちは
どんどんと逞しくなっていくのかもしれない。
見渡せば、ライオンばかり。

もしそこで、自分がウサギであったなら。
大丈夫、ライオンは襲ってこない。
ライオンはライオン同士で戦うはずだから。
それでも緊張感を与えるその存在から一定の距離を置き、いざとなったら逃げ切ることのできる
脚が速いという武器は大切に、地道に鍛える。
昨日も食べたニンジンを、昨日よりも甘いと喜ぶ。
まずいニンジンは、その辺の葉や木の実と一緒に食べてみるなど工夫する。
やっぱりマズイと笑うのもよし。
勇敢に獲物を狙うライオンがかっこいいと
憧れたなら、真似をしてみたらいい。
少しずつ、たてがみが伸びるかもしれない。
ウサギがライオンにもなれる時代。

ウサギかもしれない子どもたちに伝えたくて
ライオン社会で生きる、ウサギの心地いい生き方を考えてみた。
私は、たぶんウサギだけれど
ライオンをやってみたいとも思っている。

一番のお気に入り作品。東京藝術大学大学院卒業修了作品展
需要がありそう。東京藝術大学大学院卒業修了作品展
ライオンっぽい強さ。東京藝術大学大学院卒業修了作品展
空気感が好きだった。東京藝術大学大学院卒業修了作品展
メッセージを感じて。東京藝術大学大学院卒業修了作品展











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