記事一覧
寄り添う、をやめる〈エッセイ〉
青信号がチカチカ点滅し、
横断歩道を渡り途中の人々、
渡り始めてもいない人も
一斉に対岸に向かって走り出す。
渡りきるまでもうちょっと、
横断歩道の白線あと3.4本分というところで
なぜかみんな小走りをやめ
「間に合った顔」で歩き出す。
歩行者用の信号はとっくに赤。
前に進めずの車中の私は、
どうせ急いでくれるなら
ゴールテープを切るぐらいの勢いで
走り抜けて欲しいと、その様子を
見ながらいつも念
ライオンとウサギ。〈エッセイ〉
先日の取材で「おもしろいので、一緒に行きませんか」と
アート関係者の方にお誘いいただき、
東京藝術大学大学院の卒業修了作品展に行ってきた。
ひとり一室、自身のアトリエを使った作品展示。
みんな違ってみんないいとはよく言うけれど
感性ってこんなにも幅と種類があったかしらというほど
部屋ごとに目まぐるしく世界が変わる。
澄んで尖った主張がキラキラと眩しい一方、
これを機にアーティストになるか、そうで
粒立てる〈エッセイ〉
今日もエレベーターの扉が開く前から、犬が鳴く声が聞こえる。
扉が開くと犬のボルテージはさらに上がり、
キャンキャンと鳴き声はより甲高く、
ドアをカリカリと引っ掻く音も忙しない。
私は申し訳ない気持ちでそのドアを横目に、自宅に入る。
犬は途端に黙り、あからさまに落胆しているのがドア越しにも伝わる。
半年前に引っ越してきたお隣さんの犬に、まだ会ったことはない。
トイプードルということは取材済み。
シ
作家と画家。〈エッセイ〉
原稿中ほど、Xをちょこちょこ覗いてしまう悪習。
ただ、その日はタイミングが抜群だった。
三島由紀夫 生誕100年を記念した
画家の横尾忠則さん×作家の平野啓一郎さんの
対談イベントの情報を、投稿1分後というはやさでキャッチ。
スペシャルなイベントに参加できることになった。
生前の三島を知る横尾さん、『三島由紀夫論』を書いた平野さん。
国語辞典ばりに分厚いその本は当日までに全然読みきれず
話につい
それこそが愛といってはいけないだろうか〈エッセイ〉
向坂くじらさんの『踊れ、愛より痛いほうへ』と
岸政彦さんの「犬は自転車」を読みたくて、文藝2025 春号を買った。
向坂さんは『夫婦間における愛の適温』の素晴らしさに、誘われて。
岸さんは、ちくわ(岸さんの愛犬)の話!と迷いなく。
Xに投稿されるちくわの写真は、私の癒し。
あと、村井理子さんのところのテオとハリーも。
『夫婦間における愛の適温』は、
昨年読んだ本の中で一番付箋を貼ったかもしれな
効率化を意識しすぎて、裸でカレー鍋をかき混ぜていた話
40代半ばを過ぎ、「やりたいことを、やり切るには時間が足りないかも」
と人生のタイムリミットを意識。
いろんなジャンルの第一線で活躍する人たちのインタビューからも
「まだ、自分の生活には無駄がある」と感じること多々。
何事も効率化と、Netflixや好きな番組の見逃し配信などは
”ながら”で見ることにしている。
洗濯物を畳みながら、料理をしながら、お風呂に浸かりながら。
お風呂も効率化。まず最