「大人女子」が作るニューワールド

「ズルい大人女子のかわ見えパンツ」
こんな電車の中吊り雑誌広告見出しを見たことがあるだろうか。
意図するところはおそらく
スタイルが崩れてきた中高年女性がはいても、それなりに、いやいやうまくいけば「かわいく」見えるパンツです。本当のあなたのスタイルを正確に反映しないという点において、これをはくのは正当な評価以上を得ようとする「ズルい行為」ともいえるかもしれません。
しかし、そのくらい視覚的な誤解の生じるパンツを履くことはおしゃれなことです。

大人女子、おおいにオシャレしよう。というメッセージである。

こんな「大人女子」用語が着々とニューワールドを開拓していると思うのは私だけだろうか。

大人女子はこの数年ですっかり市民権を得た。
「大人女子癒しの旅」
「大人女子のインテリア」
「大人の女子ランチ」
大人とつけば、ちょっと年齢高め、よって少しリッチで余裕がある人のイメージ、それでもって女の人は全部女子。

美魔女という言葉が生まれた時の衝撃を覚えている。
「魔法を使ったように若く美しい中年以降の女性」を指し、エイジレスビューティーな女性という定義らしい。
ファッション雑誌がその用語を生んだ(光文社:2010年に商標登録)。
エイジレス、これがKeyである。エイジはレスされるべきものなのだ。と言ってくれちゃったのである。(「エライッ!」とエイジが気になりだした人たちは叫んだに違いない。いや叫んだ、私は。)

女と歳
この取り扱い厳重注意ワードと上手にお付き合いすることを提案したこれら用語は続々とニューワールドを築いた。
女子力という用語も発生し、2013年には○○女子と言葉が拡大。まさしく「女子」独走態勢。
そして大人女子。。。

ハヴィガースト(1973)は青年期を12~18歳、成人前期を18~35歳、中年期を35~60歳、成人後期を60歳~としている。ちなみに成人後期とは老年期を意味している。と注釈付き。
この場合「大人」がどこに所属するのかは、解釈次第である。
いい意味幅がある、というか。。
「大人女子」は私たち「年齢高め女子」を安心させてくれる用語であり、なんとなくオシャレを頑張っていい、いやむしろ頑張るべきだ、と言ってくれている。励ましの温かい言葉である。

ここまで書いて、、。何のために私は「大人女子」用語にこだわっているのだろうか。
そう、それは自分を納得させるため。
それは「ズルい大人女子のかわ見えパンツ」を買うために他ならない。  ニューワールドへようこそ。



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