
テントで目覚める1日
自宅から歩ける範囲内での生活になって、2ヶ月ほどになる。
コロナで外出自粛になり、遠出ができなくなって、時間を持て余す息子たちと一緒に、時々テントで寝るようになった。
幸いにも、うちには賃貸の集合住宅の割には広い庭がある。今、改めて見ると、リビングより広い。庭が広いという意味ではなく、それくらいリビングがせまいのだけど…それでも、こんな状況になると庭がありがたい。
時々、息子と一緒に庭のテントで寝ている。
今朝もテントで目覚めて、そっとテントを出て、庭でコーヒー豆を挽いて、ぼーっと花を見ながらコーヒーを飲んで。
日曜の朝っぽい。
それから、朝ごはんを作ったり食べたりしているうちに、撮影の打ち合わせの電話がかかってくる。
明日、うちに届いたものを撮影することになっていて、その打ち合わせ。
「写真でなにを伝えたいのか」
「写真を見る人に、どう感じてほしいのか」
そんな話をするのがすごく好きだ。電話を切ったあと、どう撮るかをあれこれ考えるだけでわくわくして、時間があっというまにすぎていく。
午後は、子どもたちと近所の森へ。
風が吹くと森全体がざざーっと音を立てる。その音が気持ちよくて、ずっと聞いていられる。
「海の音に似てるね」と息子が言う。そうかもしれない。
森から帰ってくると、頭がすっきりしたので少し原稿を進める。
でも今日は思ったより進まず、原稿の中でわたしはまだ高校生だ。これから、高校を卒業して、進学のため京都に行って、そのあといろんな人に出会ってアフリカにたどり着く…
そのディテールを追ってしまう落とし穴にはまりそうだったので、一旦中断。今夜もう少しがんばろう。
さて、そろそろ自粛が解除になるみたいだから、これからどんな形で仕事をするか、考えなければいけないな。
撮影はすべてリモートで、というわけにはいかないし、なにより、わたしはアフリカに行きたいし、アリゾナにだって戻りたいし、ミャンマーにも約束がある。
都内にもいろいろ仕事を残しているので、それもちゃんと、なんとかしたい。今書いている本も、できたら編集のKさんと直接会って打ち合わせをしたいし。
新しい日常をどう編んでいくかを考えながら、そろりそろりと手探りで進んでいく。