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Apple Musicでミュージックビデオを配信してみた体験談
こんにちは。作曲家の櫻木咲子です。
先日、Apple Musicにて配信したシングル「Snow -Opening Act-」の再生数が思ったより伸びており、制作したMVも一緒に観てほしいな~と思うようになりました。
しかし、Apple Music内にはYouTubeのリンクなどは貼れません。少し調べると、Apple Musicにて直接MVを配信できることがわかりました。さらに調べると、Apple MusicでMVを配信してみたという体験談(特に日本語)が全くといっていいほどないということがわかりました。
一体どういう風に配信されるのか気になったので、思い切って自分で配信してみることにしました。
(ちなみに余談ですが、Shazamではこちらでは何も設定していないのに勝手にYouTubeにアップしたMVのリンクが楽曲の関連動画として紐づいていました!!すごいですね。)
こちらが今回アップロードしたMVと、Apple Musicのリンクです。
(撮影と一部編集作業以外全てセルフプロデュースしたこのMVの制作秘話に関しては別記事で語りますのでよろしければフォローしてお待ちくださいませ('ω'))
ちなみに今回YouTubeでは4k(H265)でアップロードしましたが問題ありませんでした。試聴時に右下の歯車マークにて4kを選択することもできます。YouTubeって何気に多機能ですよね。
本題のApple Musicへのアップロード方法ですが、楽曲の配信と同様に、ディストリビューターを介する必要があります。どのディストリビューターでも受け付けているというわけではなく、以下のように数は限られています。
Apple Music公式:配信パートナー一覧
https://artists.apple.com/ja-jp/partners
※この一覧以外にも動画をアップできるディストリビューターは探せばあります。
CD Babyは以前利用したことがあったのでダッシュボードを確認してみましたが、動画をアップロードするというような項目は見当たらず、Googleで英語でやり方を検索しても情報が出てきませんでした。他ディストリビューターについても確認しましたが、たとえばDittoでは初期費用に$99かかるなど、「えっ…」って引いてしまうような料金設定が多かった中、TuneCore Japanでは買い切りの2,178円 (税込み)と良心的な料金だったため、TuneCore Japanにて配信することにしました。(ちなみに海外版のTuneCoreの料金だとこの円安下では割高だったので、日本版をおすすめします。)
TuneCore Japanといえば大手の楽曲ディストリビューターですが、楽曲に関しては年額サブスクプランしかないのでこれまでは利用したことがありませんでした。ただ、MVに関しては買い切りでそれ以上の料金はかからないということです。
早速TuneCore Japanでアカウントを作り、ダッシュボードで登録作業を行いました。
「収益化&プロモーションサービス」→「ミュージックビデオ&カラオケ」にいくと、「ミュージックビデオ登録」の画面が現れます。
TuneCore Japanの中にVideo Kicksというサービスが内包されており、そこから登録するようです。
![](https://assets.st-note.com/img/1697943746343-Kn08zzHYAO.png?width=1200)
あとは項目に沿って登録していくのみです。日本語でわかりやすく、特に困ったことはありませんでした。全体の保存ボタンがないため、本当に保存されているのかちょっと心配になりましたが、各項目で「編集を保存」ボタンを押しておけば保存されているようです。ただし、動画のアップロード中はブラウザを閉じてはいけないようです。
保存した内容は、「Video Kicksマイリリース」で確認できました。
私は初め、できるだけ高品質でアップロードしたかったのでH265のまま登録しました。その結果、約2時間後に形式エラーでアップに失敗してしまいました。(アップした直後に教えてくれよw)
ここで少し問題が発生します。本来であれば、元の編集ソフト(DaVinci Resolve)まで戻って、H264で書き出してアップというのが順当ですが、H264で書き出すとなぜか一部の画質がモザイクのようにガタガタしてしまうとうい現象が発生していました。原因について調べてみるとたくさん記事が出てきて、DaVinci Resolveに限らず動画編集ソフトではよくある現象のようでした。
解決策についてはややこしくてよくわからなかっため…結局H265のマスターデータを変換ソフトでH264に変換することにしました。
今回使ったソフトは「HD Video Converter Factory Pro」です。
4k設定をカスタマイズしてできるだけ高品質で変換しました。(動画のビットレートがマックス値にしても元の半分になってしまいましたが…)
ちなみに、複数の変換ソフトを試しましたが、4k設定はmp4しか選べませんでした。なので、音質がAACに変換されてしまうのは致し方ありません。(本当はマスターデータと同じmovのままリニアPCMで書き出したかったのですが)
ただ、書き出されたものをローカルで確認したところ、ぱっと見た画質と音質はマスターデータとはほとんど変わりませんでした。
今回最終的にアップロードした動画の形式はこちらです。
============
種別
Full HD
長さ
3:25
コーデック
h264(Lavc60.22.100 h264_qsv)
解像度
3840 x 2160
解像度比率
16:9
ビットレート
29.85Mbps
フレームレート
29.97fps
音声情報
チャンネル数
2
ビットレート
124.36Kbps
コーデック
aac
サンプルレート
48kHz
============
公式の規定形式は以下のようになっています。
【Video Kicks ビデオ配信サービス】動画について
規定で推奨されているのは4:3~3:1ですが、16:9でアップロードしても勝手に違和感なく変換されるので問題ありませんでした。
アップしたMVは登録画面にて試聴できますが、まず画質と音質が恐ろしく低下していて焦りました。サポートに問い合わせたところ、登録画面では作業効率重視のため画質・音質が意図的に悪くなっているようです。また、各配信先にてそれぞれエンコードされるため、どちらにせよマスターデータよりは画質・音質が落ちるようです。
詳しくは以下をご覧ください。
【ミュージックビデオ】加工による画質音質劣化について
https://support.kicks.video/hc/ja/articles/24185000814745
実際にどれだけエンコードされるのかは登録時には確認がでてきなかったため、今回はそのまま決済して審査依頼に出しました。
審査は早く、翌日には配信手続き開始されました。歌詞ではない文字(物語)が入っていたので、もしかしたらそれでひっかかるかな…と心配していましたが、問題なかったようです。
今回はApple Musicの他にLINE MusicやTENCENT MUSICなどで配信しました。一覧は以下から確認できます。
配信開始日、実際にどう見えるかを確認するためApple Musicに登録して再生してみました。
結果・・・
う~ん、そうですね、おそらくスマホなどの端末で読み込み時間を気にせずに気軽に再生されるように意図されているんだと思います。体感としては、ちょっとマシなSDという感じ。他のメジャーアーティストのMVも見てみましたが、エンコードのされ方は同じような感じでしてた。
(普段Apple Musicは利用しないので詳しくないのですが、もしかしたら高画質プランとかもあるのかな?そのあたりは確認していません)
今回は、楽曲に興味を持ってくれた人に、「MVもあるよー。よかったら見てねー」ってことをお知らせするためにアップしたという意図なので、その要件は満たせたと思います。2000円ちょいで永久にアップできるので、利用するのはありだと思いました。
配信開始後はもちろん、Apple Music for Artistsにて再生数などのアナリティクスが見れます。
ということで、今回はあまりにも情報が出てこなかったApple MusicでのMVの配信が一体どんな感じなの?という体験談を書いてみました。
まあ、今時MVはYouTubeなど他動画サイトで無料で高品質なものが見れるので、そういうサービスと併用するのが良いと思いますが、配信サービス内で楽曲に興味を持ってくれた人にアピールするという意味でMV配信するのはいいと思います!
MVの配信に興味を持っている方の参考になれば幸いです。