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【角川歴彦『人間の証明』 国を相手取り人質司法による違憲訴訟始まる 日本初 上編】
2025年1月10日、東京地方裁判所で、KADOKAWA前会長の角川歴彦氏(81歳)の勾留中に人権を侵害されたとして国を訴えた『角川歴彦人質司法違憲訴訟』の第1回口頭弁論が行われた。
〈角川氏は日本の「人質司法」は違憲であるとして、2024年6月27日に国家賠償請求訴訟を提起していた〉
この訴訟は、日本で初めての『人質司法』を改める公共訴訟となる。
KADOKAWA前会長の角川氏が、自身の勾留中に人権を侵害されたとして、国に2億2,000万円の賠償を求めているもので弁護団には、主任代理人の村山浩昭弁護士、伊藤真弁護士、海渡雄一弁護士、そして弘中惇一郎弁護士がいる。
角川氏は2022年9月に東京五輪をめぐる汚職疑惑で逮捕され、226日間勾留されたが、一貫して容疑を否認していた。
この日は弁護団4人と角川氏、全員が、証人尋問を行った。原告である角川氏が自らの思いを極めて具体的かつ気持ちのこもった迫力のある意見陳述に変えた。角川氏は、逮捕勾留中に亡くなった大川原化工機の相嶋静夫顧問に想いを寄せ、人質司法をどうにかしようと法廷に挑んだ。
第一回公判ののち、記者クラブで記者会見が行われ、裁判官も角川氏の話を相当深く聴き入っていたのではないかと村山弁護士は語った。
〈異例の裁判、やってみますか!〉
「この裁判を弘中先生と相談したときに日本には憲法裁判所が無ければ、国賠訴訟で訴えるしか無い。無罪が確定した人なら国賠訴訟を起こすけど、この裁判が並行して公判も決定していない所ですから、異例も異例。なら、やってみますか、と。」角川氏。
〈これは憲法違反だから国連に行かなくてはいけないんですよ!〉
角川氏は法の素人であることで、国賠訴訟の手続きなどに躊躇し最初尻込みしていたが、弘中弁護士に発破をかけられ腰を上げた経緯を話した。
「私の方から『じゃ国賠訴訟お願いします』って言ったらその時に被せるように(弘中弁護士が)『これは憲法違反だから国連に行かなくてはいけないんですよ!』って言われて、『国連への道のりは遠いよ…』と思っていたが、弘中先生がキツい顔で『やってみるか!』と。『やってみますか?』って、こんな感じなんですよ。」と笑った。
折しも時期が2022年10月、袴田事件が報じられるようになっていた。
角川氏は、2014年静岡地方裁判所の裁判長として袴田事件の再審を開始し袴田氏を保釈決定した村山浩昭元裁判官に、この人を弁護士団長にできないか、と掛け合い、こうして弁護団が組成された。
人質司法の違憲が動くか。
(2024年)6月27日に訴状を届けたのだが、答弁書が送られてきたのは2025年1月6日だという。
〈日本で初めての人質司法の裁判を是非注目して頂きたい!〉
「人質司法は、捜査機関の闇の部分。違法行為も含めて。そういったものが昨今報道されている中で、裁判所にきちんと認めさせるということが大事だと考えている。人質司法が日本に立証し、改める為の制度改革訴訟、公共訴訟だと言う意味ではこの裁判が日本で初めての裁判ではないかと、あったらごめんなさいだけど少なくとも私はそう認識している。」と村山弁護士は語った。
「そのためにもこの裁判でどういう主張立証がされるか、今後国がどのように反論するか、裁判所がどのような判断をするか、ということをぜひ今後も注目して頂きたいと思っている。」と村山弁護士は意気込みを語った。
国側は年明け裁判ギリギリに6日に答弁書を送ってきた。詳細な分析検討はこれからだとして、本日の口頭弁論で国側が何人か述べたが、憲法違反、国際人権法違反については何も答弁していない。このことについて、弁護団として意見を述べたと村山弁護士は不服の表情をみせた。
〈司法の動かない壁、国賠で押してみる〉
弘中弁護士は「角川さんが本気で納得できないとし、始めた国賠訴訟ではあるが」と前置きし、
「三浦知良容疑者が、捜査官前での引廻し事件、あれも国賠でやって違法とされ、そういうのはなくなったとか、(カルロス・ゴーン裁判で)検察が私どもの事務所に押収捜索で押し入ってきて、それについて押収拒絶権と、(それは)どういうものかと言うことを裁判所が正面から判断してやってくれたことはありますが、そういうような罷り通っていた司法のやり方が国賠という形で切り込んで民事の中で議論すると、案外通用することもある。」
と、角川氏に強く共鳴したことと、これまでの司法の経験からやってみる価値はあると判断した2つの経緯を話した。
弘中弁護士は続けて
「私も刑事裁判がまだ始まっていない段階でやるのはどうかなと思ったんだけれども、やってみてよかったと思っています。」ときっぱり答えた。
角川氏が心臓の薬10種を全て飲めなくて、完全に処方が受けられたのは釈放後であったことに対して、人の生死よりも拘置所のルールのほうが上なのか?という質問に対し
海渡弁護士は、「違法だと思う。日本の刑事収容者処遇法の中でも刑事被拘禁者というのは一般と同じ水準の医療を受けられることが法律で定められている。
だが拘置所では国の予算は決まっており、それを抑えるために完全に薬を出すことはできない。それによって治療が間に合わなくなって拘置所で亡くなっている人達をたくさん見てきた。
僕は監獄人権センターの代表ですから法律的にそれらを数々手掛けてきた。この事件では勿論人質司法を裁く裁判ではあるが、人として拘置所の中で命を奪われない医療を提供させる原則があることを確認するための訴訟でもある。」
〈拘置所に入った瞬間、人間として扱われないってことなんですよ〉
伊藤真弁護士も、「拘置所に入った瞬間、人間として扱われないってことなんですよ。要するに取り調べのための対象。有罪にする虐待でしか無い。正に物扱い。」と憤る。
「人間の尊厳を奪っているのはおかしい。その前提は有罪の推定を働かせてしまっているっていうことなんだろう。人間としての扱いをしないというのが根底にある。」
〈国が合法か違法かだけの判断をすればいいんだ、っていう風に答えてきているのは卑怯だ〉
国はそもそも『憲法違反』を論ずるとこの議論に勝てないからあえて今回、土俵に上がってこないのか?
それとも本気でこの行為が、『憲法違反』でないとしてやっているのか?
この姿勢についてのの弁護士団の反論は?
〈法務省としては『人質司法は無い』、というスタンツだ〉
伊藤弁護士が話す。
「(別の案件だが)国が憲法違反をしても一切その問題については触れない。(伊藤弁護士自身の判断だが)そこに踏み込んでしまうと、違憲の判断をされてしまう危険性がかなり高い。だからそこには絶対立入らせないということを法務省全体として『機関』として決めているんじゃないかと言うように感じる。この件も実態を知ってしまえばどう考えても憲法違反だし国際人権違反だと、法律を知らない方が話を聞いても『こりゃおかしいでしょ』ていう話だと思う。だから何としてもここの問題については立ち入らせない戦略で来るだろう。予想はしていたけれど。」
裁判所が必要性や相当性をまず認めるかという段階で大きな争点になるのかと思いきや、村山弁護士は言う。
「勿論そうだけれども、それだけに集約されるわけではない。事実問題についても随分認識の違いがある。角川さんがどういう拘禁生活を受けたかという事実問題の争点もある。
ただ大きく法律的な論点で行くと、そういう判断を被告(国)側は処理してほしくないから避けている。裁判所が法的判断をしてそこに踏み込み判断させるということ自体が原告団の非常に重要な一歩だと思っている。」
海渡弁護士が付け足す。
「意見陳述の中でも言ったのだが、職務行為基準で言っている違法という判断がされるかだが、国際人権規約9条の、恣意的拘禁をしてはいけないというのは違法性だけでの判断ではない。」
※ここでの「恣意性」は、法律の適用が不適切、不正義、予測不可能、または適正手続が欠如している場合にも該当する。つまり、法律に基づいていても、その適用が合理的でなく、必要性や相当性が欠けている場合も「恣意的」とされるのだ。
〈国は論じたくなく、逃げている〉
「形式的な判断をしてはいけない、このことは訴状の中でもすごく詳しく書いてある。しかしそのことについて一切答えないで合法か違法かだけの判断をすればいいんだ、という風に答えてきているのは卑怯だ。要するに恣意的な拘禁でなかったっていう風に言わなきゃいけない筈なのにそこに踏み込むと、角川さんに対する恣意的な拘禁が明らかだから論じたくない。逃げてると。こちら徹底的に追い詰めて最終的には裁判所がこれ、そういう答弁の姿勢は改めろ!と国側に言われればこの裁判が全面撤回していくと思う。」
この訴訟は、日本の刑事司法における「人質司法」の問題を問い直す重要なケースの一つとして注目されている。これを口火に、人質司法の国賠訴訟が今後も連なってくる。
参考サイト:さくらフィナンシャルニュース
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