第8話 最重要機密事項!
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「ではアフタヌーンティーが終わりましたら、また校舎本館へ戻りましょう」
「校舎本館に…ですか?」
クラスメイトたちの質問責めが怖い。
だって私は、ただの一般庶民で。それも多額の借金を抱えている。それに、女。この事実をあの人たちに知られたら…。
「(でも…今ここで退学させられるわけにはいかない)」
ーそう。これは、私の中の最重要機密事項。
一般庶民だと知られないこと。
多額の借金があると知られないこと。
そして、絶対に性別を知られないこと。
私はここで、絶対に援助者を見つけなければならない。今後どうするか考えないと。
…失敗したら、全て無くなる。
「…悠様?ご気分でも?」
「あ、いや。…あの、3分だけ待っててくれませんか?」
私の質問に、小笠原さんは柔らかく微笑みながら了承した。
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「おい、編入生!…さっきの質問、はよ答えろや」
教室へ入ってくるなり早々、沢渡晃介にそう聞かれる。
「わた…おっオレは、政治家・桜庭新八の…遠縁に当たる…息子の桜庭悠です!だから、企業やグループじゃない…」
落ち着いた教室が瞬時にざわつく。
「おい、桜庭新八って…」
驚いた顔を見せる滝島草汰。
「…元総理大臣・桜庭新八」
そう言ったのは、さっきまでずっと黙っていた阿久津涼だった。
「デフレ脱却を実現させ、俺たち企業に富をもたらしてくれた名君。
それ以外にも、近隣諸国との和平協定を成功させた日本の英雄−と言ったところかな」
阿久津涼のセリフに、私は首を縦に振る。
幸いなことに、この学校には政治家関係者のご子息はいない。加えて、ここまでの有名人なら信憑性も高いし調べられることもない。
「…えー、でも政治家の息子さんならここじゃなくてもっと違う高校に行かないー?」
不服そうに声を上げたのは、福澤淳平だった。
「元首相の息子なら、ここに来たのはマスコミ避けだろ。
違う高校に行けば、毎日マスコミやパパラッチに追われてると思うよ」
次に声を上げたのは、赤いアイマスクを着けている結城陽久。
「…あいつら、本当にしつこいから」
さすが芸能事務所社長の長男。妙な説得力があるのは、きっと何かしら経験したからだろう。
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