第7話 午後は紅茶と菓子

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「では、アフタヌーンティーをお作りいたします」
「あっ!…は、はい。お願いします…」

小笠原さんは、そう言いながら私を部屋の中へ促す。

近くにあった椅子に腰掛け、バルコニーの方へ目を向ける。眼下に見える花畑とそよ風が心地良い。目の前を雲が流れた。

「(そういえば…)」

こんなにのんびりした時間を過ごしたのはいつぶりだろう。

脳裏を蘇るのは、仕事で忙しそうにしている両親の姿。こんな風に穏やかな時間を過ごすことなく、気が付けばいつも夜を迎えていた。

「お待たせいたしました、悠様。ローズティーでございます」
「あ、ありがとうございます」

ふわっと漂うローズの香り。ティーカップの中には、バラの花びらがふわふわと浮いている。

「デザートに、ローズサブレとローズジュレをご用意いたしました。
合わせて召し上がると、より一層美味しく頂けます」
「わあ~!素敵…!ありがとうございます、小笠原さん!」

いただきますと手を合わせて、まずはローズティを口に運ぶ。程よい甘さとふんわり香るローズティーは、喫茶店に出せるほど美味しかった。
次に、ローズサブレをいただく。サブレの上には、砂糖がついたバラの花びらがのっていた。今度はローズジュレをサブレの上にのせて食べる。

「美味しい…!」

感動する私を、嬉しそうに覗き込む小笠原さん。

「ありがとうございます。悠様は洋菓子がお好きなんですね」

その問いかけに、私は大きく頷いた。

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