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わかったからその話やめてよ退屈すぎて死にそう

ラッキリ、LuckyKilimanjaroの結成10周年記念の日比谷野音のライブに行ってきました。「大学卒業後は就職はしないで音楽をやる」と「報告」を受けて10年経ちます。

「たった1度の人生だから好きなことをやればいい」キレイごとで、そうはいってもなかなかそれを実践するのは勇気のいることです。その時は「99%挫折するだろうな」と思っていました。でも「挫折」はボクも何度も経験していて、そんなことは大きな問題じゃないです。やり直しはいくらでも効きます。でも本気の挑戦は何度もできることじゃあありません。

インディーズでファーストアルバムを作ったというので、聴いてみましたが正直「才能にあふれている」とは感じませんでした。音作りはともかく、詞が拙い。ただ全体のなんとも言えない魅力はあるかもしれないと身内びいきの評価をしていました。

それからメジャーデビューが決まるまで、なにかと「ダメ出し」をメールで送ったりしていましたね。もちろん彼はそんなものは「わかったからその話やめてよ退屈すぎて死にそう(KIDS)」と思っていたことでしょう。それから10年経った今「ボクは間違っていた。それで良かったんだ」と思いました。

「バンドをやって、遂にメジャーデビュー」というストーリーは、まあそこら中に転がっている話でしょう。でも10年経って、その記念最終公演が「幕張メッセのワンマンライブ」というストーリーは、なかなかあることじゃないです。自慢させてください。

もう「ダメ出し」するようなところは一つもありません。同じ音楽をやるものとしてボクの経験、スキルを全て超えてしまっています。そこでせめて「良い出し」をしましょうね。昨日のライブは、インディーズ時代の曲もたくさんやっていましたね。10周年の総括として、そのコンセプトはとても良いと思います。

またメンバーのそれぞれが際立つ「ソロパート」をいつくか入れていたのも、とても感慨深いものでした。ラッキリの特徴でもある同期を使った演奏は、ともすれば「生演奏いらなくない?!」と勘違いしてしまうところも見られるわけですが、それを払拭する生パートの迫力は、ライブでしか見ることのできない素晴らしいものでした。

それから昔、ダメ出しをした作詞。見事です。この歌詞に「共感している」というファンがいっぱい。昨日もファンの方に声をかけられて「救われています」といわれたように、よく書けています。それは細かい「テクニック」ではなく、生き方そのものの表現が根底にあるからで、偉ぶらずカリスマなんかになろうとしない姿勢は忘れないで欲しいです。

来年2月の幕張メッセ。ホントに凄いけど、ゴールはそこじゃないです。「ダメ出し」じゃないけど、希望を言います。「真正面から向き合ったクリスマスソング」が欲しいですね。「冬が嫌い」という歌は個人的なものとしては、ありだと思うけど、誰もが楽しめる普遍的な冬の歌が欲しいですね。

「春」なら「春はもうすぐそこ」「またね」「Kimochy」、「夏」は「エモめの夏」「風になる」をはじめ上げるのも難しいくらい名曲ぞろい、「秋」は「山粧う」や「辻」もそうかな?! 

クリスマスソングでなくても良いけれど、冬の代表曲が欲しくないですか? クリスマスシーズンに必ずかけたくなる曲なんて。ちょっと「商業的」かと嫌がるかもしれないけど「POPソングの作り手」として「ファンの発注に応える曲」を真剣に作っても良いんじゃないかと思います。

ボクはグラフィックデザイナーとして「お客さんの発注に応える作品」を作り続けてきました。それはほとんど妥協の産物ともいえますが、プロとしては「自分は芸術家ではない」という矜持でやっています。

10年、20年と作品を作り続けるには、ある意味「自分でない自分」に憑依することも必要かもしれないよという「わかったからその話やめてよ退屈すぎて死にそう」な話でした(笑)

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