日本における情報公開の原点

長く私が関わってきた情報公開の立法運動の原点を紹介します。40年以上も前の「古文書」なのでネット上には見当たりません💦先輩の方々の熱意を尊敬し、努力に敬意を表するために掲載します。

■情報公開権利宣言■(1981年1月採択)

 「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」と日本国憲法前文は述べている。憲法自身が指摘しているとおり、この言葉は人類普遍の原理であり国民主権の何たるかを明白にしたものである。
 国政は国民のものである、という極めて平凡な真理にもかかわらず、国民主権の原理に反して、重要な国政情報は長いあいだ国民から遠ざけられてきた。その最も大きな原因は国民主権に本来内在する国民の知る権利が無視されてきたからである。国民の目と耳が掩われ、基本的な国政情報から隔離されるとき、いかなる惨禍に見舞われるかは、過去の戦争をとおして私たちが痛切に体験したところである。
 すでに周知のように、公害・薬害等により国民の生命、健康、安全は脅かされ傷つけられてきたが、政府省庁による情報の不当な操作や秘匿がなければ、それらの原因は速やかに究明され被害も最小限にくいとめられていたはずである。さらに、ロッキード事件をはじめ頻発する高官汚職や公費の乱費も、密室政治を原因とするものであり、いまなお真相は濃い霧のなかにある。これが国民を主権者とする国政と呼べる状況であろうか。
 現代国家の特徴とされる行政権力の著しい強化と肥大は、今日のいわゆる情報化社会において、いよいよ政府による情報の独占と管理とを決定的なものとするにいたった。しかし、これらの公的情報はもともと国民の共有財産であり、公開のもとにおくことが、国民に奉仕する政府の当然の責務にほかならない。
 アメリカ合衆国憲法制定者の一人シェームス・マディソンは、民主主義保障の条件として、政府の行為に参加する自由を指摘するにあたり、「人民が情報を持たず、またそれを獲得する手段を持たぬ人民の政治は、道化芝居の序幕か悲劇の序幕であり、あるいはその双方以外の何ものでもない」と述べた。また、一九七九年わが国も批准した国際人権規約は、表現の自由の権利は「国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む」と規定している。
 私たちは、知る権利を具体的に保障する制度が人権と民主主義に不可欠であることを確信し、すべての公的情報を自由に請求し利用する権利を持つことをここに厳粛に宣言する。

■情報公開八原則■(1981年1月採択)

  私たちは、「情報公開権利宣言」をふまえ、情報公開法や情報公開条例は、少なくとも以下の八つの原則を満たすものでなければならないことをここに確認する。 1.政府・地方公共団体その他の公的機関が保有する文書その他の情報は、原則として全て国民・住民に公開されること。
2.国民・住民はだれでも政府・地方公共団体その他の公的機関に対し情報公開を請求する権利を付与され、請求を拒絶された場合には、独立の行政委員会または裁判所に出訴でき、その当否について実質的判断を受けることができること。
3.非公開にできる情報を例外として定める場合には必要最少限度とし、例外条項は法律または条例で明確に定めることを要し、例外条項に該当することの立証責任は政府・地方公共国体その他の公的機関が負うこと。
4.国民の生命・健康及び心身の安全、その他国民生活に重大な影響を及ぼす事項に関連する情報、及びこれらの事項に関連する審議会・委員会等の記録は、絶対的に公開とし、いかなる理由によっても公開を拒絶することができないこと。
5.独占的公益事業(電気、ガス等)や公益的性格を有する事業について、その事業計画の決定、その他国民生活に重大な影響を与える事項に関連する情報は絶対的に公開とし、いかなる理由によっても公開を拒絶することができないこと。
6.個人に関する情報は、当該個人から請求があるときは公開しなければならないこと。個人に関する情報は、法律または条例で特に定めのある場合を除き非公開とすること。但し、公務員や公的機関の職員に関する情報はこの限りでない。
7.政府・地方公共団体その他の公的機関は、活動を記録する義務、文書その他の情報を保存する義務、情報の目録を作成する義務を負うこと。
8.情報の収集・処理・利用・公開に関し、国民・住民の参加による監視委員会を設けること。
 なお、情報公開法・条例とともに、会議公開、プライバシー保護、特別公務員等の資産等公開に関する法律・条例が立法されなければならない。


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