6/12
午後7時になっても空は明るい。夏至が近付いている。私は貴方を追いかけながらトートバッグの中のデジカメを探った(もしくは探りながら貴方を追いかけた)。一眼を構える貴方は後ろから見ると、顔からカメラを生やした生き物のようで、ちょっと面白い。貴方の眼。第三のレンズが空中に伸びる。何を写しているんだろう? 何をキャッチしてるんだろう? そう思いながら私も第三の眼を構えて貴方を写し取った。なんだか画面全体が青い。空の青さがビルの窓に、タイルの道に、あなたに反射して、ちがう、うつりこんで? しみこんで。 空気に染み込みながら私の目まで届く。藍染の空間。日が陰っていて、風がびゅうびゅう吹いている、ビルの谷間。夜の前だけど夕方って感じはしない。青い空は青いまま、丸ごと夜の中に沈んでいきそうな感じ。
後で撮った写真を見たら、しっかり青かった。実際青いんだ。ちょっと気のせいかと思ってた。これは証拠写真としてとっておくことにした。この時間、この空間は青くて、実際、道行く人も、私も貴方もみんなちょっと青かったぞ!見ろ!どうだ!
参ったか!