なぜさくらインターネットが「クラウドプログラム」の供給確保計画に関する経済産業省の認定を受けたのか?
さくらインターネット株式会社は、2023年6月に経済安全保障推進法に基づく特定重要物資である「クラウドプログラム」の供給確保計画に関する経済産業省の認定を受けました。また、AI時代を支えるGPUクラウドサービスの提供に向けて、3年間で130億円規模の投資をし、「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」を搭載した、合計2EFの大規模クラウドインフラを整備することを決定いたしました。
弊社代表の田中から、なぜさくらインターネットが「クラウドプログラム」の供給確保計画に関する経済産業省の認定を受けたのか、その理由についてお伝えします。
当社が認定を受けた3つの理由
なぜ当社が「クラウドプログラム」の供給確保計画に関する経済産業省の認定を受けたのか?と、疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。それは他社が今からやろうとしても、すぐに生成AI向けのGPUクラウドサービスを提供する環境を整えることができないというのが一番の理由として挙げられます。環境の整備から行うとなるとサービスの提供まで3年~5年はかかると思います。国としては「国内のデジタル産業を推進する上でそんなに長い期間待っていられない」と考え、短期間でサービスの提供を開始できる会社ということで、当社を選んでいただいたのだと考えています。
当社にしかできない理由が大きく3つあります。
1.そもそもデータセンターがなければできない
まず1点目は、そもそも自社でデータセンターを所持していないとGPUクラウドサービスの整備はできないという点です。なおかつ、迅速に整備を進めるには、データセンターに余白がありすぐに、サーバーの構築が始めることができる必要があります。このように、余白を持つ企業は少ないように感じています。これは、当社がクラウドサービスを提供する企業であるため実現できたことです。
当社は物理基盤サービスというデータセンターのスペースを提供するサービスよりもクラウドサービスとしてインターネットを介してコンピューティングリソースを提供するビジネスの比率の方が断然多くなってまいりました。これにより、余っているスペースを売らずに、将来の拡張用にかなり余白を持って投資を行うことができるため、今回もすぐにGPUクラウドサービスを提供するためのスペースを準備することができました。
また、当社の石狩データセンターは北海道の石狩市に位置しますが、北海道は非常に電力が豊富であるということも大きな理由です。
2.GPUのオペレーション人材と経験が豊富
2点目はGPUがかなり特殊なチップで、サーバーにただ並べただけで動くものではないという点が挙げられます。サーバーによって発揮できる処理能力にばらつきもありますし、GPU自体も発熱も多いため熱設計もしないといけないし、運用していくのが非常に難しいものです。
当社は「高火力コンピューティング」というAI向けのGPUサービスを7年ほど前から提供しています。GPUの性能を引き出すためにはどうしたらいいのかというノウハウが蓄積されています。
現在の日本におけるIT業界は水平分業されています。データセンターを保持している人、サーバールームを設計する人、サーバーを運用する人、など全てがバラバラなことがほとんどです。当社は自社でデータセンターを建てて、自社で設計して、自社で運用しており、当社の社員が一貫して担当しています。そういう技術を持った人間が豊富にいるところは、他社にはないところであると感じています。
3.スタートアップとの親和性
3点目はスタートアップとの親和性が非常に良いという点です。スタートアップも含めた日本のAI企業はアプリケーションに強みを持つ企業は多くありますが、AI基盤に強みを持つ企業は多くありません。
Preferred NetworksさまやABEJAさま、フィックスターズさまなど、いわゆるAIで有名な企業さまと当社はこれまでも共創を実施してまいりしました。当社がクラウドインフラを用意し、それを動かすためのソフトウェアの構造設計も含めパートナーとして一緒にAIを作っていくということを、これまでもビジネスとしてやってきました。
スタートアップが、何十億もの投資を行い自前で生成AIの開発環境を整備するというのは難しいものがあります。そのため1日だけ、2日だけ借りたいといった需要があり、現在開発中のGPUクラウドも時間借りや日借りができるようなプランを用意しようと考えています。それをスタートアップや小規模な事業者さまにも使ってもらえるよう、環境整備を進めています。
以上が、当社が認定を受けた3つの理由となります。現在当社では、AI時代を支えるGPUクラウドサービスを2024年1月以降の提供を目指しております。GPUクラウドサービスに関しては以下のリンク先をご覧ください。
当社は今後も、「『やりたいこと』を『できる』に変える」という企業理念のもと、DXプラットフォーマーとしてデジタル社会の継続的な発展へ寄与してまいります。
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