生成AI向けクラウドサービス「高火力」の第一弾、ベアメタルシリーズ「高火力 PHY」の提供開始と、GPUリソースの拡張計画について
さくらインターネット株式会社は、「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」を搭載した、生成AI向けクラウドサービス「高火力」の第一弾として、ベアメタルシリーズ「高火力 PHY(ファイ)」を2024年1月31日より提供を開始しました※。
弊社代表の田中から、「高火力 PHY」の拡張計画についてお伝えいたします。
「高火力 PHY」提供開始
2024年1月31日より、「高火力 PHY」の提供を開始しました。現段階では定価での提供と、1年コミットおよび3年コミットのプランを提供しています。今後は時間単位での貸し出しなど、プランの拡充を検討中です。引き続きさまざまな需要に応えられるよう、サービス開発を進めてまいります。
提供開始から間もないですが、すでに多くのお客さまに興味を持っていただいています。中でも、IT企業以外の業種からの需要が大きいという印象も感じています。
生成AIは必ずしもIT企業だけが使うものではありません。DX(デジタルトランスフォーメーション)の台頭により、IT企業に限らず、さまざまな企業がIT技術を本業に役立てる流れが顕著に現れています。また、AX(AIトランスフォーメーション)の加速により、これまで発生していた人的および時間的コストを大きく下げるだけではなく、AIを活用して利益を増やしていくことも可能になります。
広くさまざまな業種の企業さんがAIを駆使し業績を伸ばしていくために、弊社はその基礎となるGPUクラウドサービスの提供に尽力していきます。
「高火力 PHY」の拡張計画
GPUクラウドサービスの拡大にあたり、弊社が運営する石狩データセンターを拡張するため約48億円の投資を行うことを決定しました※1。既存の棟を増床し、敷地内にコンテナ型の小型データセンターを開設します。そして、2025年3月期の上期中には、当初予定をしていた2,000基のGPUの整備が完了予定です。
社内では「余白の経営」として、目の前のチャンスを掴みかねることがないよう常に余力のある状態で運営を行っており、データセンターや土地にも同じく余裕を持って設計をしています。そのため、このたびも広大な場所や強固な電力設備が必要なGPUクラウドサービスを速やかに開始することができました。
また、GPUを利用して生成AIによる機械学習を行うと、CO2が多く排出されます。世界的にESG※2への関心が高まる中で、これは消費者のみなさまに受け入れられにくいことかと思います。しかし、当社の運営する石狩データセンターは再生エネルギーを使用しているため、CO2を排出しません。そのため、GPUを大量に供給できる場所として、GPUクラウドサービスの提供に適していると感じています。
GPUの調達
長期的にGPUクラウドサービスを拡張していくにあたり、今後もAIブームが続く限りはGPUの調達が困難だという問題と向き合う必要があると思います。GPUは数多く稼働させるほど質の良いAIを作ることができるので、各企業からの需要は旺盛です。少なくとも3年から5年はGPUの供給がボトルネックになるだろうと予測しています。
弊社もサプライヤーさんと長くお付き合いすることを前提に、投資計画を策定しています。
さくらインターネットがGPUクラウドを提供する強み
2023年頃から世間では生成AIブームが巻き起こりました。しかしこれまでは国産のGPUクラウドサービスの供給量が足りず、外資のGPUクラウドサービスを使わざるを得ない状況でした。弊社もGPUリソースサービス「高火力コンピューティング」を8年前から提供していますが、それだけでは供給量が限られてしまいます。
現在、世界的にもGPUが足りていない状況です。弊社がGPUを2,000基以上投資※したとしても、現在の需要を満たすためにはさらに投資を行う必要があると考えています。
さくらインターネットがGPUクラウドを提供する強みは、大きく2点あると考えます。
一点目は、お客さまにサービスを安価に提供できるということ。国の助成があるため実現できますが、GPUサービスは非常に高価ですので、利用者さんにとって非常に有意義だと感じています。
二点目は、事業者と二人三脚でコミュニケーションをとりやすいということ。国内企業であれば言語の壁もなく、対話がしやすいです。国の政策方針や互いの意図を汲み取りやすく、スムーズにサービスを構築することが可能です。
価格面においても、コミュニケーション面においても、サービスを使うハードルが大きく下がるという点は国産企業がGPUを提供する強みであると考えます。
さいごに
当社は今後も「『やりたいこと』を『できる』に変える」というビジョンのもと、DXプラットフォーマーとしてデジタル社会の継続的な発展へ寄与してまいります。
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