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日本電子専門学校で執行役員の髙橋が講義を実施しました

さくらインターネットは、クラウドビジネスの加速を支えるパートナー制度として「さくらのパートナーネットワーク」を2024年4月に設立しました。その第一弾となるセールスパートナー制度では、パートナー企業に対して営業支援や技術支援などのサポートプログラムを提供するなど、独自の取り組みを展開しています。
その取り組みのうちの一つとして、当社のセールスパートナーであるテクノブレイブ株式会社さまに、当社が提供しているパブリッククラウドサービス「さくらのクラウド」を題材とした講義を日本電子専門学校(東京都・新宿区)にて開催いただくことになりました。

これに先駆けて、教育支援やパートナーの戦略などを管掌している当社執行役員の髙橋 隆行が学生さんに向けて特別講演を行いました。
本記事では2024年11月29日に実施した講演で髙橋がお話しした、当社が自社で運営する「石狩データセンター」について、運用における考え方やセキュリティ強化への取り組みなどの内容を抜粋してお送りします。

▼はじめに:さくらインターネットの特徴

さくらインターネットの「垂直統合型・自前主義」のビジネスモデル

私たちさくらインターネットは、「汎用主義・自前主義」での運用にこだわりをもっています。

多くの企業はオープンソースを担がずVMwareを使ったり、ミドルウェアを仕入れてサービスを作ったりするのですが、私たちはオープンソース汎用主義なので、IoTのサービスなどもすべて内製で作っています。オープンソースを活用し、自分たちでインフラからソフトウェアまで作ります。
この自前主義はサービスのみならず、データセンターでも同様です。建物自体の建設はデベロッパーさんにお願いしますが、その企画やコンセプト設計はやはりすべて内製で行います。内製だからこそ、非常に柔軟な対応ができるところがさくらインターネットの特徴である、と自信をもってお伝えさせていただきます。

▼堅牢なデータセンター:身近なトラブルを知ることから

皆さんにも興味を持っていただけているデータセンターの話をしたいのですが、いきなりデータセンターの設備や電気の話をしても頭に入ってきづらいと思いますので、まずは身近なところから考えていきましょう。

皆さんのおうちで、防犯や防災対策はしていますか?きっとそれぞれ対策をされていると思うのですが、どんなことをしていますか?

--鍵をかける。
そうですよね。施錠はとても良いセキュリティです。

--避難経路を確認する。
そうですね。有事の際、結構重要なポイントになります。

防犯および防災対策っていうのは、きっちりとした方が皆さんにとって安全安心ですね。では、少し観点を変えて、皆さんがインターネットを利用するなかで発生すると困ることって何ですか?

--急に通信が止まる。
嫌ですよね。ゲーム中だと特に嫌ですよね。

--サーバーが落ちる。
こういうトラブルはよくありますよね。

--個人情報が盗まれる。
とても良い回答ですね。

対策例

ほかにも、停電したり、パソコンが壊れたり、ウイルスに感染したりするのも困りますよね。こういった状況にならないためにどのような対策を行うかが重要です。対策例としては、バッテリーや予備機、別回線を用意したり、セキュリティソフトを導入したりすることなどが挙げられます。

▼データセンターについて知る

データセンターでの業務内容

データセンターでは大量のサーバーやストレージを運営しています。ゲームや動画サイトも、実はデータセンターの中で処理していたりします。ほかにもブログやホームページ、衛星データ、一般企業や政府・自治体のサイト、AIを使った研究などに用いる大規模な計算資源を運用するためのデジタルインフラを支えている建物です。

データセンターのセキュリティ

データセンターでは設備の設計やメンテナンスを実施し、また設備やサービスの監視やログを取得してそれを元に厳重に管理を行っています。データセンターで勤務する人の業務内容は非常に多岐にわたっており、他にも工事の要否判断や、監視、サービスにおいての設計や構築、監視、運用サポートなど、皆さんが安心してインターネットサービスを使えるように24時間365日通じてデジタルインフラを支えています。

データセンターにおいては、頻繁に電源が落ちたり、サービスが提供できない状態になったりすると、ご利用いただいているお客さまにものすごく大きなダメージや影響があります。そうなると皆さんの生活に身近なゲームをはじめ、企業のシステムなどにも影響が出てしまいます。そうならないために、データセンターでは非常に堅牢な運用をしています。

データセンターを運営する上でのポイント

次に、堅牢なデータセンターを運営するにあたり、建物や設備上で気を付けるポイントをいくつかご紹介します。

① 安全性の確保
建物自体の耐災害性がとても重要です。例えば、津波や液状化のリスクがある場所にはそもそも建てることができません。また、耐震など建物自体の安全性も確保しなければなりません。絶対に災害が起こらない場所はないことを前提に、日常的に災害に備えてしっかり訓練することも大切です。

② システムの可用性
常に継続し安定的にサービスを動かすための能力を有していることも重要です。当社では停電やトラブルが起きたときに備えて冗長構成をとっています。

③ 機密性
先ほど防犯の話をしましたが、データセンターにおいては通信上でも物理的にも非常に厳しくアクセス管理を行っています。不審者が侵入してきていきなりサーバーを壊されてしまうとお客さまにご迷惑をおかけしてしまいますね。そうならないために、石狩データセンターでは防犯カメラ以外にも本人を認識しないと入れないゲートがあるなど、非常に高いセキュリティレベルで運営しています。

①~③を総合して「稼働信頼性」を高めていくことがポイントです。

石狩データセンターにおける取り組み

5G(第5世代通信)や生成AIの普及とともにIT企業の需要が増えています。その分需要も過多になり、さらにデータセンターが必要になってきました。

これに伴い、これまで主流だったコンパクトなデータセンターでは供給をまかないきれず、大規模なデータセンター(ハイパースケールデータセンター)が増えてきています。そしてなくてはならない便利なITサービスがどんどん生み出される中、電気を使うことは避けられない状態になってきているのです。当たり前に使うスマホやパソコンが使えなくなったら困りますよね。

では、どうするべきか。事業者が、しっかりと今後の環境配慮に対して取り組みを行わないといけないのです。

石狩データセンターでは6万台近いサーバーが常時稼働していますが、それらは再生可能エネルギー100%で動いています。
また、エネルギーを効率化するための取り組みも行っています。発電所から生まれてくる電気は直流ですが、一般的には交流で受電しています。直流から交流に変換するとその分ロスが生じるのですが、直流で受電して、交換することなく機器へ電力を届ける仕組みを導入しています。

そして、熱をたくさん排出する機器を冷やすための空調は、北海道の冷涼な空気を取り入れるための設備を導入しているほか、現在石狩データセンター内に建設中のコンテナ型データセンターにおいては水冷のテクノロジーを取り入れるなど、環境負荷に配慮した運営を行っています。

事業者の責務として、環境負荷をいかに下げるかを考えながら行動しなくてはならないと思っています。

▼まとめ

「止めること」ができないインフラ

データセンターは、インターネットサービスを提供するためのデータ処理を行う施設です。お客さまからのデータをクラウドやサーバー上でお預かりして、お客さまにインターネットを介して使っていただくという、「止めることができないインフラ」です。

皆さんが当たり前のように使っているアプリケーションの先に、実はこのような設備があることを知っていただければ嬉しいです。

▼さいごに 髙橋から学生の皆さんへ

皆さんは今、ITインフラについて勉強されているかと思います。今後就職される時に思い出していただきたいことが2つあります。

まず、1つ目は「幅広い知識を持ってほしい」ということです。クラウドが普及しサーバーやネットワークなどの設定は画面上で簡単に行える時代となり、非常に便利になった反面、設定したインフラがどういう挙動をするかを想像できない方が増えてきているように思います。

市場の中でもトップエンジニアと呼ばれる方は、ただコードを書いて、インフラを触るだけではなくて、その先がどのように動いているのか、また利用者がどんな扱い方をするのか、というところまでアンテナを張って考えています。よって、幅広い知識をもつということが非常に重要です。

自分の得意分野以外のこと、例えば趣味の知識でもかまいません。いろいろな引き出しをもっていると、それらが活きてくる場面が必ず出てきます。実は、私はIT業界に来る前は自動車整備士でした。自動車整備士として、電気やエンジンの仕組みを知っていたからこそ、データセンターにおけるモノの動き方がすごく分かりやすくなりました。いろいろな知識の点と点は、いずれ必ず線でつながって面になっていきます。幅広い知識をもつことをぜひ皆さんに実践していただければいいなと思います。

そして2つ目に、「クラウドは『扱うもの』ではなく『作れるもの』だと思ってほしい」ということです。「扱う」だけではなく「作れる」ということに重きを置いていただけたらなと思っています。皆さんには、クラウドサービスを作って世界に羽ばたくエンジニアとして今後もご活躍いただけたらなと思います。

▼さくらインターネットの採用情報

さくらインターネットでは、一緒に働くメンバーを募集しています。2026年度新卒採用もエントリー受付開始しましたので、ぜひ以下からご応募ください。

▷新卒採用ページ

▷中途採用ページ

髙橋 隆行
さくらインターネット株式会社 執行役員

東京都出身。カスタマーサポート、プリセールスエンジニア経験を経て2006年にさくらインターネットに入社。運用現場業務に従事したのち、2011年に運用執行役員に就任。2016年に営業管掌として異動、非営利団体KidsVentureの立ち上げ、グループ会社代表取締役経験を経て、現在はテクニカルソリューション本部を管掌し、パートナー戦略策定やユーザーへの教育支援に従事。

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