ROF-MAO 1stライブレポ
2024年4月1日。
きっと多くのROF-MAOファンにとって、あの日は忘れられない日になった。
忘れられない時間という言葉の正解を見たようだった。
あの夜の感動を、ここに書き記しておこうと思います。
はじめに
そもそも私がライブの開催について知ったのは、友人二人がシリアル先行抽選の当落を目の前で見ていたからだ。当時の私は時々ろふまお塾を見る程度のにわかで、ライブを行う界隈にいた経験もなかったから精々「へえ、Vtuberでワンマンか」としか思わなかった。開催も四月ということで、ちょうど忙しくなる時期ではあったし、今回は参加を見送ろうとまで思っていた。
そんな私が、あの二時間半で確かに彼らに魅せられた。普段はYouTubeで昭和のバラエティのようなことをしている彼らが作り上げる世界を見た。
これは、一人のオタクが彼らの創り上げた夢の時間について記した備忘録だ。
ライブ開始
友達の準備していた神棚にグッズを追加させてもらい、部屋の電気を消して三人でパソコンに向き合った。色とりどりのペンライトの海を眺めていると、不意に歓声が上がった。コメント欄を見ると、どうやらメンバーの円陣の声が聞こえたらしかった(後日無料パートを確認すると、社長のかけ声の後に三人の返事が聞こえた)。
その後会場の電気が落とされ、メンバー紹介の動画が流れる。ついに始まるんだと思う一方で、まだ現実に片足を突っ込んでいた。ボルテージは言うまでもなく最高潮。そして四人が現れた。
彼らはそのまま歩を進めると、ステージの二階から一階まで落下。何が起こったか理解できなかった。
我に帰る間もなくバンドの演奏と共にお面を外した彼らが歌い出した。あの瞬間、彼らの世界に引きずり込まれたんだと思う。
ライブ本編
一曲目 ウィーアーポップスター
賑やかなイントロで始まったライブ。MVで聞いていたのと全く遜色ない歌唱力と、ライブならではの叫び声。何より歌って踊る彼らに、彼らが生きていることを実感した。
セリフパートはこの日に合わせた特別仕様。
ネチケのモニター越しでも、会場の全力の掛け声がはっきりと聞こえた。
コロナ渦で声出し禁止だった数年間。ようやく返せた声は喜びもひとしおだっただろう。
二曲目 一撃
間髪入れず披露された次の曲は2022年にじフェスで初披露となった曲、一撃。一転してクールな曲調で、二年間のうちに確かに向上した彼らの歌唱力を見せつけた。
三曲目 ラックハック
さらに続いて、”Crack Up!!!!”より。この曲は特に不破がぴょんぴょんしていて、彼の底なしの体力を垣間見た。
MC
怒涛の三曲を終え、ライブはMCパートへ。先程までのクールな四人はどこへやら、いつも通りの姿にどこか安心した。
四曲目 フルカウント
彼らのこれまでを象徴するような歌詞が散りばめられた曲。サビではまさかの新衣装のお披露目があり、来るとは予想していたものの、よもやこんな形だとは夢にも思っていなかったので反射的に発狂してしまった。
ラスサビ直前に加賀美は一拍息を吸ってから「Yeah」と高らかに響かせた。本来は甲斐田に割り当てられていたのを「これは社長が歌うべき」と言って託したという逸話が残るパート。その判断をした甲斐田に心からの感謝と、彼のクリエイター精神に敬意を感じた。
MC
ここで無料パートが終了。
新衣装について四人が触れていく。かなり着込んでいる加賀美と剣持に対し、それぞれ半袖と短パンの甲斐田と不破。現地の気温がいくらか上がっていた時期だったこともあり、涼しそうだと羨ましがられていた。
五曲目 Life is Onceで候
ここで加賀美と甲斐田がデカデカしい団扇を持って登場。剣持と不破っちの上で甲斐田が加賀美に悪ふざけを仕掛けて、結果負けていた。
そして問題のシーン。甲斐田に団扇を二本とも託し、消える社長。一緒に消える下の二人。絶望する甲斐田。歌詞などが分からないなりに、何とか場を繋ごうと言語とも取れない言語を唱える。
ステージの二階を左右に走り回る甲斐田。一階に現れたのは金の神輿に乗る加賀美とそれを担ぐ剣持と不破。(あと黒子。)思わず大爆笑したが、思えば揺れまくる神輿の上でいつも通りの歌声を披露したのは普通に凄い。
その後の甲斐田の、のびのびとしたソロが先ほどと対照的で面白かった。
六曲目 HANABI
お祭り繋がりで次の曲。彼らがタオルを回せるようになったという点に、えにからの技術力に素直に感嘆した。恐らくろふまおが結成した二年前ならできなかっただろう。
そして先ほどの神輿に引き続き、今度は花火が登場。会場で花火を打ち上げるのは流石バーチャルならではの演出だと思う。
七曲目 Survivor
ここでまさかのカバー。知らない曲だったので最初は驚いたが、透明度の高い四人の声や挑戦的な彼らの姿勢とシンクロする部分も多かったように思う。
八曲目 Do or Die
タイトルに「食うか食われるか」という意味を持つこの曲。個性の殴り合いのような四人が、今にも噛みそうな難解な早口パートをリズミカルに歌い上げる。
九曲目 感情BONBING
確か貴重なまとも枠。炎が上がってメンバーが永遠に跳ね回っていた。
MC(ろふまお塾パート)
唐突に始まるVTR。YouTubeで見慣れたろふまお部屋をバックに、Dから告げられたのは、”ろふまお塾”にライブで披露する曲の内二曲分を決める権利が与えられた旨。この時点でオタクは既に期待した。
そして予想を裏切らず、Dが”前向きフェニックス”と”もちもちハリネズミ”を披露すると発表。当事者二人は全力で拒否。仕方がないので対決で披露するかどうかを決めることに。
結果は加賀美敗北、剣持は勝利(ただしレギュレーション違反)。
そして画面が会場に切り替わる。
十曲目 前向きフェニックス
怪しげなロープを装着し、一人二階ステージに立たされる加賀美。明らかに何か仕込んでいる。ろふまおの音楽担当が無駄に本気を出してくれたおかげで生バンドは大迫力の演奏を展開。歌が始まり、予想通り空を飛ぶ加賀美。
今までもそしてこれからの大阪城ホールの歴史の中でも、「オクラ」なんて単語をワイヤーアクションをしながら圧倒的歌唱力で歌うアーティストは早々現れないと思う。
MC
曲が終わり、空から戻ってくる加賀美。(レギュレーション違反により)勝利して歌唱を回避した剣持は他人事のように笑っていたが、そうは問屋が卸さない。
どこからか持ち出してきた椅子に縛り付けられ、ついでに登場するハリネズミの3Dモデル。察した。
十一曲目 もちもちハリネズミ
踊る大人たち。叫ぶ高校生。申し訳ないが腹筋痛めそうなほど笑った。先程のオクラ同様、大阪城ホールであそこまで放送禁止用語が響き渡ることはそうないと思う。デスメタルバンドでもあれほどは叫ばないだろう。
MC後、剣持の「狂ってるこいつら!!」という叫び声を合図に次の曲へ。
十二曲目 Crazy Buddies!!
時には皮肉を混ぜながら、ユーモアあふれるラップでメンバーを紹介していくこの曲。甲斐田のパートにある「これすごくないですか?あれやばくないですか?」という、近頃はあまり聞かなくなった加賀美の少年心を象徴するようなセリフを加賀美本人が歌い(歌わされ?たぶん甲斐田のアドリブ)、会場が歓声に包まれた。
十三曲目 ぶっ生き返す!!
各々の個性が見える激しいヘドバンが特徴的だった。
テンションが上がりすぎた不破と加賀美が階段にダッシュ。そのまま勢いよく飛び出てきて二階席で大騒ぎ。
十四曲目 Charengers
最早普通に歌われた曲の方が印象が薄い始末。良かったのは間違いないけれど、細かい内容が分からない。
十五曲目 前進宣言
Aim Higherの際には最後を飾ったこの曲。サビの特徴的な動きや四人が一文字ずつ叫ぶ「このまま」は健在。甲斐田渾身の「どんなもんじゃい」が大阪城ホールに響き渡った。
十六曲目 Thank you, Promise!
本編パート最後はエンディングに相応しい曲。「今この時 確かな景色」「未来をともに歩いて行くんだ」と、ROF-MAOとして歩いてきたこれまでの感謝やこれからの希望が感じられた。
アンコール
十七曲目 I wanna ! You wanna!
会場のアンコールに答えて再登場。アンコール最初の曲はファンだけでなく本人たちすら“飛び道具”と評する”I wanna ! You wanna!”。
曲の中盤、加賀美が他のメンバーと敬礼しあい立ち去ったと思えば、現れたのは何とダイカガミ。しかも1stライブ特別仕様。何を見せられているのかとも思ったが、本人たちが楽しそうで何よりだった。
MC
ダイカガミ退場。まだできていなかったバンドメンバーの紹介をするついでに、四人のTシャツ姿がお披露目された。
いくつか告知をして、新曲を歌うことを発表。ライブの振り返りもしてしまおうということで、一人一人が感想を述べていく。
途中不破の腰のチェーンがバグによって股間に挟まるというハプニングがあり、そちらに目が行ってしまった結果不破は社長の感想を完全に聞き逃したらしい。まさかこのまま新曲になるのではと焦っていたようだが、新曲お披露目前に無事修正されていた(直ったことに気づいてピースをして見せる不破には思わず吹いた)。
十八曲目 Hands Up
個人的に激しく感情をかき乱された一曲だった。加賀美が「ROF-MAOの名前を日本中に広めたい」と言った、その一歩目となる曲。
ペンライトを振るのも忘れ、必死に歌詞を聞き逃さないよう、食い入るように画面を見つめた。
「1パーセントの奇跡 100回チリツモ100パーセント」「最高の瞬間さ」彼らが魅せてくれた夢が、これからも続いてく。そう信じられた瞬間だった。
十八曲目 New street,New world
ROF-MAO初めての楽曲であり、今回のライブのタイトルにもなった始まりの曲。Aim Higherでは一発目だった。当時よりも確実に進化した歌声やパフォーマンス。彼らの歩んできた二年間が凝縮されていた。
普段よりも長く演奏されるアウトロの中で加賀美がこちらに叫びかけてきた。
ライブの終わり。次は何を楽しみにしようか、そう思っていたところに投げかけられた言葉。何事も全力で取り組み、数々の夢を見せてくれた彼らが言うなら信じられると思った。
きっとお礼を言うべきはこちらだった。それでも彼らは、あの場所に立てたのは私たちのおかげだと何度も言ってくれていた。彼らの積み重ねてきた沢山のものの中に、私たちの応援がふくまれているのなら。きっとこれ以上のことはない。
おわりに
何度も繰り返すようだけど、あれは間違いなく彼らが積み上げたもので、彼らが私たちに届けてくれた夢だった。
この2年間、躓くことも多かったと思う。なんせ唐突に集められ、無人島に放り込まれたことから始まったユニットだ。同期のような特別感だって正直無かったんじゃないだろうか。それでも彼らは肩を並べ、ここまで走り続けてきた。過酷なスケジュールをこなし、私たちをずっと笑わせ続けてくれた。何より彼らが、この四人でいることを楽しみ続けてくれた。それが何という偶然で何という奇跡か。言葉に表せないとはきっとこのことだ。
これからの彼らの行く先が輝かしいものであるように。少しでもその支えになれるように。彼らに胸を張れるように頑張りたい。そう思えたライブだった。