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歯磨き
【櫻の魔法 〜歯磨き〜「増本綺良」】
「失礼します〜.....」
「なに急に」
「今お時間よろしいですか?」
「なんですの」
「いやぁちょっとそろそろじゃないかなっと思いまして.....」
きらちゃんがまたなんかやってる。
「なにが」
「あの...歯磨き.....」
「.....は?笑」
「歯磨きぃ.....」
「は.....?笑」
「歯?」
「いや違.....笑」
「ほらもうご飯食べたし...お風呂も入ったから.....」
「風呂1人で入れてるやん笑」
「いや、まぁそれはなんというか」
「なんというか?」
「コツを見つけたというか」
「洗って浸かるだけやろ」
「いやでも歯磨きはまだ難しいんで」
「磨くだけや」
「なんかその...歯磨き粉の量とか」
「みんな適当や」
「なんか...ほらちゃんと計って付けな、逆に虫歯なるとか言われてるし」
「誰やそいつ、めっちゃアホやん」
「とにかくできひんと言いますか」
「なんでなん.....笑」
「いや!ほんまは自分も出来るようになりたい、とは思ってますけど如何せん量が難しくて」
「『如何せん』とか言うやつ絶対出来る」
「いや...もうほんまに頼んます」
「.....頼んます?笑」
「ふっ笑 頼んます」
「笑ろてるやん」
「笑ってない!!」
「声デカ」
「ふざけてるんですか!?」
「こわ」
「歯磨きしないと大変なことなりますよ!!?」
「怖いって」
「歯磨きね!しないとね!」
「なんやの」
「なんか.....」
「.....なんか」
「なんか.....」
「.....なんか」
「.....凄いことなりますよ!!」
「すごいやん.....」
「分かったら早くやれ!ボケェ!!」
無理やり洗面所に連れてかれる。
「はい!」
歯磨きセットを渡される。
「.....え?どうすんの?」
「向き合ってやる!」
「しにくいやろ」
「顔見たいやん!!」
好きではあるらしい。
「どんなアホな顔してんのか!」
前言撤回。
「はい、口開けて」
「あ」
とりあえずやってみる。
「あい!あんあいああお!」(はい!反対側も!)
「喋るな喋るな」
「はよしろ!ぶっ...ぶっ...ぶっ飛ばすぞ!」
「ありがとう。全部かかったわ、唾」
「なんか顔濡れてんで?暑いん?」
「やばこいつ」
なんだかんだ終わらせる。
「はい、終わり」
「ありがとう」
いい子ではある。
「ほな次は寝かせて頂きたいなって思うんですけど、この後お時間まだ大丈夫ですか?」
「なんでやねん1人で寝ろ」
「職務放棄ですかー?」
「ほな給料寄越せ」
「逆パワハラですか?」
「歯磨き出来んやつが上司な訳ないやろ」
「え、じゃあ読み聞かせもやっていただけないんですか?」
「なんでやらなあかんの」
「一応読んでもらいたい本も持ってきたんですけど」
「なに?」
「ウォーリーを探せ」
「なにを読み聞かせられるんや」
「ほら早く!!」
仕方なくベッドに連れていく。
「はい、お布団被って」
「被った!」
「目閉じて」
「閉じた!」
「ほな読むよ?」
「うん!」
「.....」
「.....」
「.....」
「.....」
「.....?」
「.....?」
「.....」
「.....」
「.....」
「.....」
「いや、そらそうやろ」
「.....zzZ」
「なんでやねん」