相も変わらず果然 3話・表
【相も変わらず果然「山﨑天」】3話・表
補習が終わったあと、山﨑と一緒に帰ることに。
「ほんといつまでかかってんの?あんな簡単な問題」
「分かんないもんは分かんないんだもん」
「ばーか」
「ひどーい」
山﨑がバカなことを知ってから、なんか分かんないけど鼻が高かった。
「ちょ、ちょっと待ってよ!まだ靴履けてない」
「なにしてんの」
「荷物多いの!持ってよ!」
「なんでだよ.....ったく」
仕方なくデカい荷物を持ってやる。
「ありがと!ついでに肩も貸して!」
「何から何までだな.....」
「えへへ笑」
それにしても重いな.....。
「これ何が入ってんの?めっちゃ重いけど」
「バスクラだよ〜」
「バスクラ?」
「バスクラリネット!部活で吹いてる大きいクラリネット!」
「へ〜今度の文化祭で吹くの?」
「そうだよ〜ありがと!」
「ふ〜ん.....」
どんな音なんだろう.....。
「なに?気になった?笑」
「櫻坂46の曲吹けたりするの?」
「たっくさん吹けるよ〜😏」
「へ〜.....」
なんか気になってきたな.....あ、そうだ
「この後、家で練習する予定だけど来る?」
なんだ、聞かなくて済んだ。
「いいの?」
「もちろん!」
「Dead endの最初とかも吹ける?」
「あれはバスクラじゃなくてトランペットだよ」
「なにが違うの?」
「え?.....う〜ん...木か金属かの違い?」
「へ〜そうなんだ」
「木でできてる楽器は柔らかい音がして、金属の方はインパクトのある音がするからすぐ分かるようになるよ!」
「.....なんか山﨑がすごい人に見えてきた」
「えへへ照れちゃうな」
褒めたのが間違いだったかも知らん。
「調子乗るな」
「そうだ!うちDVDあるからライブ観る?」
「まじ?」
「え?うん」
「俺、まだ持ってなくてめっちゃ観たかったんだよ」
「そうなんだ.....もしかして最近好きになった?」
「そうそう、YouTubeでたまたまMVが流れてきてボケーッと観てたらめっちゃかっこいいなって」
「じゃあ私の方が先輩だね🤭」
そうとなると時間が惜しいな。
「ちょっと走ろうよ、時間が惜しい」
「え、ちょっ...待って待って荷物重いんだって」
「何してんの貸して」
「あ、ありがとう」
「ほら早く案内して!」
「強引だなぁ.....笑」
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「ただいま〜」
「お邪魔しま〜す.....」
誰か出てきたらさすがに気まずいか.....。
「ふっ笑 誰も居ないよ笑」
「一応ね」
「あ!ちょちょちょっと待ってて!🙌」
「なに」
「いいから玄関で座ってて!!」
階段を勢い付けて上がったあと直ぐにドタバタ聞こえた。
工事現場かと思った。
2分後。
「はぁ...はぁ...いいよ入って」
絶対今片付けたじゃん.....。
「.....普段から片付けとけよ」
「はぁ...今日...はぁ...たまたま散らかってたの.....」
「ほんとか?」
入ってすぐの正面には松田里奈のポスターがあって、見渡す限り櫻坂46のグッズで埋め尽くされてた。
「すっご.....」
「凄いでしょ〜、お小遣い全部櫻坂に使ってるからね〜」
ポスターの下には大量の写真があった。
「これっていわゆる生写真ってやつ?」
「そうだよ〜、あ!天ちゃんの写真被ってるのあるから後で上げるよ」
「いいの?」
ラッキー。
「うん!じゃあ早速ライブ観ちゃう?」
「お願いします」
「あ!待って、お菓子とかジュースとか欲しいよね?」
「お構いなく」
「コーラかオレンジジュース」
「コーラ」
「だと思った〜」
改めて見ると、山﨑の部屋はグッズで埋め尽くされているもののちゃんと女の子らしい部屋で、少しばかり緊張してる自分が居た。
「.....はい、ポテチとカントリーマアム」
「え、なんか怒ってる?」
「怒ってません」
「訳分かんねぇ.....」
「じゃあ早速再生!」
クラスの女子と並んで部屋で過ごすなんて、よく考えたら初めてやるもんだから心臓がうるさい。
「.....ん?なに?どうかした?」
「え?あ、いや別に.....」
「こっからほんっっっとにかっこいいからちゃんと観ててね?」
「.....分かった」
それに気づいた時から既に「山﨑天」の虜になっていたのかもしれない。
「ここ!!!」
「え?」
「あ〜...観てなかったでしょ.....」
「ごめん、ぼーっとしてた」
「もしかして私に見とれてたとか〜?」
「え、あ.....」
いつもなら上手くあしらえるのに、なぜか言葉が詰まる。
「.....え?」
「違ぇよ」
「そっ...かっ.....」
耐えきれず話題を逸らす。
「ごめん、巻き戻してもいい?」
「う、うん.....」
なんだこれ.....。
という感情をかき消す画面のカッコ良さ。
「.....かっこよ」
「でしょ!!!?」
「今の演出ヤバくない?」
「分かる!!」
「もう1回観よ!」「もっかい観たい」
一瞬の指先の温もり。そして無言。
「ご、ごめん」
「ううん...私こそ.....」
見れば見るほど画面の中に居る天ちゃんに見えてきて、心のどこか奥底から今まで体験しなかった感情が顔を出してくる。
「な...なに.....?」
「.....山﨑ってさ」
「うん.....?」
「.....やっぱりなんでもない」
「分かった.....」
.....あれ?いつもなら「なんだよ〜」とか言っt
「.....」
さっきまで夕陽が差し込んでいた部屋は、太陽が雲に隠れせいか、山﨑の頬の紅さが夕陽によるものじゃないと語っていた。
「.....ごめんやっぱり聞いてもいい?」
「な...なんでしょうか.....?」
「えーっと.....」
違った時、恥ずかしいな.....なんて考えてたらダメか。
きっと画面の中の天ちゃんならズバッと聞くはず。
「俺の事好きだったりする?」
山﨑は急に身体を背ける。
その反応を見てなんて愚かな事をしたんだ、と後悔する。
「ごめん.....キモいよね」
そんな中、聴こえてきた歌詞が自分の情けなさを語っていた。
『君のその手 今掴んでどこかへと走り始めよう♪もう誰も追いつかないように♪』
それをできない自分はなんて情けなi
「○○!!」
「な...」
気がついたら山﨑は僕に飛び込んでいた。
「好きなの!!大好きなの!!」
突然の出来事に頭の処理が追いつかない。
「○○の彼女になりたいの.....」
山﨑の体温が、心音が直接伝わってくる。
「だめかな.....」
僕は思わず山﨑の背中に手を回していた。
離したくなくなってしまった。
「ダメじゃないよ.....彼女になってよ」
身体が熱い。
「ごめんね.....ずっと好きだったんだよね?」
「.....うん」
普段あんなにからかってくる山﨑が、急に素直になるのが愛おしくてたまらなかった。
「僕も好きだよ」
「.....ほんとに?」
思い返せば、今までの行動全部好きだったからこそなんだろうと。
「うん...気づくの遅くなってごめん」
「ほんとだよ...ばか.....」
「天.....?」
「.....なに」
「キスしてもいい?」
「.....そういうのは聞かずにやるんだよ」
「ごめん.....」
「.....ばか」
僕から急に離れたと思ったら、目の前で目を閉じる。
「.....ん!早くして!」