衣は新に如くはなく、人は故に如くはなし 1話
【衣は新に如くはなく、人は故に如くはなし】1話
月1くらいのペースで外食をし、制限なしにお互い好きなものを食べられるくらいの人生。
同棲を始める時、そう2人で決めた。
「里奈〜出る準備出来た?」
「もうちょい!」
「ゆっくりでいいからね〜」
「ねねね、これどっちがいいやろ」
「ん〜.....左!」
「え!里奈もそう思ってた!」
「いえーいシンパシー🫰」
「パシー🫰あ、洗濯物取り込んどいてくれる?」
「おっけ〜、今日雨?」
「うん雨〜」
「そっか〜」
家事をしてくれる彼の後ろ姿を見る度に「あぁ私はなんて幸せなんだろう」って思えるのは、こんな私の事をずっと好きで居てくれる彼のおかげなんだと思い毎回好きが増す。
「○○〜洗濯物ありがとう」
「ううん。お、準備できた?」
「うんできた!」
「今日もバッチリ可愛い最強!」
「ありがと!○○もカッコイイ最強!」
「ありがと!鍵僕持ったから」
「分かった」
「行こう」
今日はその月1の外食の日。
「ちょっと歩くけどここに停めよっか」
「全然大丈夫よ」
車から降りてお店が沢山並ぶ通りを歩く。
「まだ時間あるからちょっと見てく?」
「そうしよっか」
「うん.....あ、見てこれ可愛い.....」
「可愛い。合わせてみる?」
「みる」
「荷物ちょうだい」
「ありがと.....どう?」
「めっちゃ似合ってる。里奈こういうの持ってないよね?」
「昔持ってたかも.....似合わんと思って捨てちゃって」
「うそ!めっちゃ似合ってるよ」
「ほんとに?」
「うん、買う?」
「え、でも.....」
「プレゼントしてあげる」
「いいの?🥺」
「最近なにもしてないからさ🙂」
「えー嬉しい.....一生大事にする」
「そこまでのものじゃないって笑」
「ううん.....あねぇねぇこれちょっと着てみて」
「はいはい」
「○○さこういう系欲しいって前、言ってなかった?」
「ねぇ笑 買おうとしてる?笑」
「してる笑 いいじゃんお互い買い合おうよ」
「いいよ〜、他の色もある?」
「こっちとか○○っぽい」
「それ里奈が好きな色でしょ?笑」
「バレた?笑」
「どんどん僕の服が里奈の好きな色に侵食されていく.....笑」
「喜んどるくせに!笑」
「.....うん笑」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そろそろ向かおっか」
「うん.....あ」
たまたま通りがかったブランド「LOEWE(ロエベ)」。
ふと職場で同僚が話してた事が気になる。
『松田さんってブランドもの身につけないんですね』
「う〜ん.....」
『あんまり好きじゃないとか?』
「いや可愛いなとは思うけど同棲してるとやっぱり値段が気になるというか.....」
『あ〜そっかぁ.....』
「別に同棲してるのがネックって訳じゃないんだけどね?」
『でもたまにインスタとかで流れてくると欲しいなって思いますもんね』
「まぁねぇ.....」
『私のところも彼氏がブランドに興味なくて、やっぱり身につけ辛いなというか.....ねぇ?笑』
「どこもそうだよね笑」
今の生活には満足しているし、不満も一切ない。
でも話題にあがると流石に気にはなる。
彼はどう思うんだろう.....。
「LOEWE.....」
「ろえべ?.....ここってそう読むの?」
「え?あぁうん」
「へぇ.....」
「お腹空いたっ!行こっ!」
「えっ.....うん!」